第十話・終話


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 モードレッドが試合場に現れたとき、すでに名誉の法廷は始まっていた。人垣をかき分けて前へと進み、群衆のなかに混じる。今日だけは喧騒を心地よく感じた。
 やがてランスロットの剣がガウェインの胸に入り、モードレッドは勝利の瞬間を目に焼きつけようと身を乗りだした。顔だけは悲しげに歪ませることに心くだいて。
 ふと、後方からざわめきが起こり、モードレッドは振り返った。──兄のアグラヴェインだ。だがその後ろに続く赤髪の騎士と、その騎士が抱きかかえる女性が目に入ってモードレッドは身を固くした。
 その瞬間のとまどいが、モードレッドにとって致命的になった。彼らはアーサー王の御前に進み出て何事かをささやき、アーサー王も頷き返す。
「戦いをやめよ」
 アーサー王が朗々とした声で宣言すると、場の空気はいっぺんした。人々は周りを見渡し、何が起きたのかとささやき合っている。
 ──ここで立ち去ったら目立ちすぎる。
 それでもモードレッドは立ち去ろうとしたが、兄のアグラヴェインはするどく彼の背姿を見抜いた。
「モードレッド」
「……」
 兄に呼び止められ、モードレッドは足を止めた。けわしい表情の兄が近寄ってくるまでに、心の乱れを整える時間があった。


■□■□■


 サー・モードレッドがすなおに自分の行いを認めるとは思わない
 バーネットに忠告されたときから、ナマエは手紙だけでは決定打に欠けることに気づいていた。もちろんナマエはモードレッドと話して、何事もなく名誉の法廷が中止されることを望んでいた。兄であるガウェインと対立して欲しくないとも。
 ──でも、何かがあったときガウェインさまを助けられなかったら……。
 ナマエの脳裏に一人の騎士が浮かんだ。正確には、義姉であるグレイスと彼が。グレイスとはたびたび手紙を交わす仲になっていた。
 トリスタンは名誉の法廷を聞きつけ、ちょうどキャメロットにやってきていた。ナマエは秘密裏に彼と会ってバーネットとその手紙の話をした。もうひとつの証拠を手に入れるため、モードレッドに交渉を持ちかけることも。

「あなたが囮になって、サー・モードレッドをけしかけるのですか?」
「はい。彼が名誉の法廷を止められたくなければ、私の握っている証拠を消そうとするでしょうから。もし何事もなく、交渉を終えられたらそれでいいのです。でもそうならなかったとき、サー・トリスタンに証人になってもらいたいのです」
「ええ……私は構いませんが、あなたは危険にさらされることになりますよ」
「もちろん覚悟しています」
 ナマエの言葉を聞いて、トリスタンは納得したように頷いた。
「なるほど。サー・ガウェインがあなたをレディと慕う気持ちが分かりましたよ。あなた方はよく似ている」
 トリスタンは右足を引き右手を体に添えて、ナマエへの敬意をしめした。
「このトリスタン、喜んで力を貸しましょう。
 ……さすれば忠告を。サー・モードレッドが慎重にうごく人間なら、とっさに判断しなければいけない状況のほうが、私たちの優位に働くでしょう。名誉の法廷が差し迫った当日の朝にけしかけるのです」

 そして当日の朝、トリスタンはモードレッドの部屋を訪ねるナマエを、戸口に立つモードレッドの仲間に気付かれない位置で見守った。いったんトリスタンはその場を離れ、ナマエに話さなかった計略のために動く。
 自分だけでは失敗する可能性が高いとトリスタンは思っていた。確実にことを運ぶため、宮廷内で影響力を持つ人物を味方したい。くわえて公正な人柄でモードレッドを追及できる人物が望ましい──白羽の矢を立てたのは、アグラヴェインだった。
 王妃の部屋を訪れて、見張りに立っていた彼に話しかける。ナマエが望んだように、モードレッドの兄弟である彼にも企みについて話さなかった。だがアグラヴェインは同じ円卓の騎士であるトリスタンのただならぬ言動を受けとめ、王妃の護衛をほかの騎士にまかせて同行してくれることになった。
 やがてナマエを連れず、モードレッドのみが部屋から出たことを確認する。二人は頃合いを見て部屋に突入した。戸口にいた騎士たちは抗おうとしたが、トリスタンとアグラヴェインは彼らを押しのけて踏み込んだ。
 ナマエは気絶し縛られた状態でベッドに横たわっていた。アグラヴェインはなおも自分たちを追い出そうとする騎士を制圧し、トリスタンはナマエを介抱する。そしてナマエが意識を取り戻すまでのあいだ、モードレッドの企みについてアグラヴェインに話した。
 聞き終えたアグラヴェインは狼狽していたが、この状況を見て受け入れざるを得ないと判断したようだった。やがて気づいたナマエをトリスタンが抱きかかえ、急ぎ試合場に足を運んだのである。


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「モードレッド」
 弟をアーサー王の御前まで連れていき、アグラヴェインは苛立った声を発した。
「いましがた、サー・トリスタンとナマエ嬢から名誉の法廷を中止すべき忌々しい事情を聞いた。おまえはこの件について何か申し開きたいことはあるか?」
 モードレッドは赤髪の騎士──トリスタンと、ナマエをするどく睨んだ。ナマエは青ざめていたが口元を固く結び、彼を見つめかえした。
 ──そうか。謀られていたということか。
 敵の術中にはまったことにモードレッドは気付いた。それも自分が軽々しく考えていた相手に。
 ──たった一人で交渉を持ちかけてきたときから、警戒するべきだったのだ。
 しかし見抜けなかったのは当然だった。モードレッドにとって、みずからの身を危険にさらしてまで他人を救うことなどあり得ない。ましてや騎士でも何でもない、ただの臆病な人間が。
 バーネットの回心も、ナマエの命懸けの犠牲も、モードレッドにとっては想像できないものだった。それらを、彼は自分が騙されたのだと考える。
「………」
 冷たい表情でモードレッドは黙り込んだ。弟の態度にアグラヴェインの怒りが頂点に達する。だが、それより先に口をひらいたのはナマエだった。

「サー・モードレッド」
「………」
「あなたはきっと、私が嘘をついて騙したと思っているでしょう。でもあなたが交渉に応じてくれたら、本当に黙っているつもりでした。サー・トリスタンにも秘密にして欲しいとお願いしていました」
「………」
「そこが、私とあなたの違いです。あなたは強くて有能だから、なんとかできると思って嘘をつく。でも私は──私たちは自分のすることが上手くいく≠ニ信じられないから、他の人に助けを求めるのです」

 私たちとは誰を指すのか。ナマエだけでなく、トリスタン、ガウェイン、バーネット、さまざまな人のことを思ってナマエの口からは自然とその言葉が生まれた。
 ──弱いから、自分が失敗するかもしれないから、他の人と協力したと言うのか。はっ、そういう言い訳で騙したことを正当化するんだな。
 モードレッドは怒りをおぼえた。……モードレッドにナマエの言葉が信じられるはずがない。家族であっても信じられず、信じても報われてこなかった彼には。だが自分の奥にある芯の部分を、ナマエに鷲掴みされた気がして胸が苦しくなった。
 やがてモードレッドは「この場で話すことは何もありません」と言う。そこでようやくアーサー王は重い口を開き、
「アグラヴェインはモードレッドを監視できる場所へ連れて行くように」
 とだけ指示した。


 モードレッドが連れていかれたあと、ナマエはアーサー王の肩越しに視線をさまよわせた。向こうには試合場がある。口に出さなくても何が心がかりか分かり、アーサー王はふっと力を抜いて「ああ、行ってやりなさい」と言った。
 ナマエはお辞儀し、まるで飛ぶのを忘れていた小鳥のように、一直線に愛しい騎士のもとへ向かっていく。その若々しい背を見送りながら、アーサー王はランスロットをそばに呼んだ。
「ランスロット。心から感謝するぞ。王妃のためによく戦ってくれた」
 騎士はいまだに戦いの余韻が抜けず、ふるえる手で兜をぬいで王の足元に跪いた。足の怪我はひどいが従者に支えられて歩くことができる。アーサー王は腰をおって両手で肩をつかみ、感謝の言葉をかけた。
「いいえ、感謝などいりません。騎士になった瞬間から、私は王妃様の擁護者だったのですから」
 疲れと緊張から解放されたランスロットは、アーサー王にこう言ったあと、後ろにいたギネヴィアにもお辞儀した。このようなとき、自分のために戦ってくれた騎士に対して感謝の気持ちを表すことは自然だった。しかしギネヴィアは言葉もなく彼を見つめて、ただ涙が頬をつたって流れおちた。
 やがてギネヴィアは歩みよる。ランスロットではなく、アーサー王のとなりに。
「アーサー様……」
「ギネヴィア。無事でよかった。どうか君の無実をこの手で晴らせなかった私を許しておくれ」
「はい……私はいつまでも、あなたとともにあると誓いましたから」
 ギネヴィアは指で涙をぬぐって微笑むと、両腕を開いてアーサー王の首筋にすがった。

 太陽に照らされ、ひとつの正午の短い影がランスロットの足元にのびる。影の傍らで、ランスロットはひざまずいたまま深く頭を垂れた。かの騎士の目に浮かんでいたのは悲しみではなく二人への愛と忠義で、まるで祈りを捧げているような姿だった。


■□■□■


 名誉の法廷から三日後、アーサー王の城の大広間におおぜいの家臣や貴婦人が集まった。大広間の最上段の窓から光が差し込み、高座を青白く照らしている。高座には勇ましいドラゴンの、アーサー王の紋章が飾られていた。
 人々は両脇に並べられた椅子に座って裁きを待っている。裁きが始まる前に自分の意見をまわりに話す者もいたが、どの人の声も小さくぎこちなかった。やがて護衛に付き添われたバーネットとモードレッドが入場し、高座の前にやってくると、大広間は水を打ったように静かになった。
「神の叡智によって、正しい裁きをおこなえますように」
 国王夫婦のそばで司祭が祈りを捧げ、全員が起立してアーメンと唱えた。高座からアーサー王はよく通る声で二人の罪状を読みあげる。
 先に呼ばれたのはバーネットだった。バーネットは震えを止めるために胸の前で固く手を組む。緊張しながらも覚悟を定め、手紙に書いてあった罪を告白した。アーサー王の問いかけに対しても素直に答える彼女に、周囲はため息をこぼしつつも憐れみを向けた。
 だが、次に呼ばれたモードレッドはそうではなかった。彼は高座の前に進み出ると、堂々とした仕草でアーサー王にお辞儀した。まるで裁かれる立場ではなく告発におとずれたように。
 彼は、バーネットをそそのかして毒りんごを用意したことは認めた。しかし「自分がこのような罪を犯したのはアーサー王陛下とブリテンのためです」と続けた。いわく、王妃とその贔屓する騎士によって宮廷の秩序が乱されている。自分の命を危険にさらしてでも、ないがしろにされている兄の手によって公正な裁きを求めたのだと──いかにも正しいことをしたように語った。
 これに対し王妃はぎゅっと椅子の肘掛けを掴んで怒りをこらえた。アーサー王は眉をひそめたが、人々が息を止めて国王の腹をうかがう様子に、慎重な言葉を返した。
「なるほど、騎士として国をおもう行為自体は非難されるものではない。だが兄ガウェインの婚約者に手を下したことについて、どんな釈明をするのだ?」
 このようにアーサー王はモードレッドの行動のほころびを探し、モードレッドも堂々たる態度を崩さずに語り、裁きは一進一退を繰り返したのである。


 夜半、モードレッドは人の気配に目を覚ました。裁かれる立場でも国王の血筋として使っていた部屋に監禁されている。窓から青白い月あかりが長く伸びていて、夜明けはまだ遠いことが分かった。そんな時間に扉から誰かが入ってくるのを感じて、モードレッドは身構える。
 誰かが寝首をかこうとして侵入したのだろうか。いや、部屋の出口に立っている見張りを始末して入ってきたならもっと騒がしかったはずだ。
 許可を得て入ってきた人物は月あかりをさえぎる。深くフードを被っていたが、モードレッドとほとんど同じ体格だった。
「……何者だ」
 彼の言葉に対し、人影はスッと口元に手を当てて声を出さないように指示する。フードからちらりと見えた口元と髪で、モードレッドには誰なのか分かった。
「……!」
 相手は黙ったまま、フードの下から袋を取り出してモードレッドの横たわるベッドに置く。壁のあたりまで下がって、袋の中を見るように身振りをした。
 モードレッドは狐につままれたような表情で袋をつかみ、中を見た。いくらかの貨幣と服が入っていた。服には金糸で縫いとられたドラゴンの紋章がある。まぎれもないアーサー王の衣装だ。
 ──これを着て逃げろというのか。
 罠だとモードレッドは瞬時に思った。裁判の判決がくだる前に、罪人が逃げてしまえば罪を言い逃れできなくなる。この男は裁きが不利にはこぶと考えて、おれを騙すつもりなのだ。この男に上手く利用されるなど、まっぴらだ。
 袋を投げつけてやろうと思ったが、モードレッドは躊躇した。裁きで無罪になることは難しいとモードレッドは分かっている。もし命は助かったとしてもキャメロットからの追放、オークニーでの幽閉生活を強制されるだろう。だが逃げれば、二度とモードレッドを名乗ることはできないが自由の身になる。
 ──何者でもない人間に……。
 モードレッドが手に入れたいと憧れてきた愛情や地位は、同時に自分を縛るものでもあった。憧れてきた光≠ヘ荊(いばら)≠ナもあった。その選択を他でもない相手から与えられて……。
 モードレッドはこんなときでも冷静な表情でいる男を見つめた。
 ──悪意なのか、善意なのか。
 以前の彼なら迷うことなどなかっただろう。だが、善意をもって行動した人々に負けた彼は、それをあるもの≠ニして考えはじめていた。あの少女の目にあった強さのように。
「………」
 扉の向こうで、見張りがした咳払いが聞こえた。きっと入ったまま出てこない人物に気を遣いつつも、早く出てきて欲しいと思っているのだろう。
 ──汚名を背負いながらもモードレッドとして生きるのか、すべてを捨てて自由に生きるのか。
 時間がない。モードレッドは袋をつかんだ。



<終話>

 名誉の法廷から三日後、ガウェインは昏睡から目覚めた。ずっとそばで看病していたナマエは涙をはらはら流して喜んだ。一週間後には上半身を起こせるようになっていた。
 二人の裁きについては、ガウェインの寝室で、判決の場にいたトリスタンから聞くことができた。
 バーネットは修道院にいくことになった。それも王妃の嘆願によって、期限は本人が決めていいという。ナマエはいつか彼女に幸せになって欲しいと思った。
 モードレッドについては、彼は最後まで自分の罪を釈明しつづけたが、アーサー王による判決を受け入れた。キャメロットを永久追放されてもおかしくなかったが、そのときアグラヴェインが申し出たのだという。
『……年若い弟はキャメロットを追放されても、自分の罪を理解せずに恨みをつのらせていくでしょう。どうか再起の機会を与えてやってください。戻ることができると思えば、彼はアーサー王陛下の慈悲を感じて罪を悔い改めるかもしれません。
 それまで私が責任をもって学ばせます。弟の不始末を、オークニー一族の責務として任せていただけないでしょうか』

「アーサー王陛下はなんと?」
 ナマエは聞いた。
「ええ……『ではおまえに任せよう。この件でもっとも傷を負った、オークニーの頭領であるガウェインが同意すれば』、と」
 トリスタンの視線はガウェインに向かった。「だが自分だけでなくレディまで命の危機にさらされた当事者としては、複雑かもしれないな」
「そうだな」
 黙って聞いていたガウェインは頷き、ベッド脇の椅子に座っていたナマエを見やる。ナマエがほほ笑むと彼の唇がすこし緩んだ。彼のなかで、モードレッドを許してやりたい気持ちはあっても、落とし所がなかったのかもしれない。
「私たち≠ヘアーサー王陛下のくだした判決に依存はないよ」
 ナマエとガウェインは手を重ねて、指を固く結びあった。


■□■□■


 一連のできごと──毒りんごを仕込んだ犯人として王妃が疑われたこと、名誉の法廷でランスロットとガウェインが一騎討ちを行ったこと、毒りんごを食べたモードレッド当人が裁判にかけられたこと──はキャメロットの城壁を超えて王国じゅうに伝わった。
 くわえてガウェインを救うために婚約者のナマエが必死で動いたことも語られ、サー・ガウェインの花よめの物語≠ヘ人々のあいだで広く知られることになった。
 アーサー王と円卓の騎士たちのように永く語り継がれたのではないが、夕暮れに沈む太陽がひときわ強い光を放つように、おなじ時代を生きた人々の心に強く刻まれた。


 その時間もゆっくりと流れ、領地に戻ったガウェインはふたたび自力で歩けるようになった。ナマエも妻としてガウェインを支え、二人で領地の安寧に心を配っている。
 やわらかい風が木々の幼い緑をなでて、眼下に広がる麦畑を揺らしていた。秋の終わりに蒔かれた麦は、冬を雪の下で乗り越え、春に豊かな緑の畑になる。やがて夏には黄金の実りをもたらすだろう。
 丘からそれを見下ろすナマエにガウェインは声をかけた。
「驚きましたよ、ナマエ。あなたがここまで領民の生活に心を配るとは」
「私は田舎育ちですから。宮廷でのやりとりより、農民たちの日々の暮らしに向き合うほうが慣れているのです」
 風にながれる髪を耳にかけてナマエは頬をほころばせる。 少女の面影を残しつつも女性として成長した彼女を美しいとガウェインは思った。キャメロットでは見なかったおだやかな表情に、平和なときの流れを感じた。

「もし平和な時代になれば、私のような騎士は無用になりますね」
 ふと浮かんだ言葉をガウェインは口にする。するとナマエは顔をあげて彼のほうを見た。
「サー・ガウェインのご活躍の場はなくなりません」
 ナマエは久しぶりに、彼を敬称で呼んだ。
「戦さの時代は戦場で。平和な時代になれば、子どもたちの枕元で。あなたの活躍する場所が変わるだけです」
「枕元で……人々はわたしたちが居なくなっても覚えてくれているでしょうか」
 はい、とナマエはあかるい期待に彩られた表情で答えた。
「サー・ガウェインやアーサー王の物語はいつまでも語り継がれていくのです。私のような無力なものや、あなたの後を追う子どもたちの憧れとなって」


 物語は語られることで命を継ぎ、あたらしい物語が生まれていく。
 物語のなかで、主人公たちはかならず困難に出会う。実際の人生においても困難にぶつかれば、そうやすやすと乗り越えられるものではない。
 だが主人公たちは必死にあらがって困難を乗り越える。言い換えてみれば、私たちも困難を乗り越えれば、物語のように美しく人生を輝かせることができるのだ。
 物語のあと主人公たちがどうなったかは分からない。それでもナマエとガウェインの物語はこの言葉をもって締めくくろう。

 ──騎士によって少女は成長し、少女によって騎士も救われた。二人は結ばれた後も助けあい、たくさんの人間に平和をもたらした。
 そしていつまでも、いつまでも、幸せに暮らしましたとさ。


<花よめ物語・完>


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