■ ■ ■
=4粒目 ガウェイン=
わざわざお店に行ってチョコレートを選んだ。他の人にあげた物と違う、一つぶ一つぶが宝石みたいな高級チョコだ。
「………」
げっ、と思わず心の声がもれそうになった。渡しに行ったら彼が両手いっぱいにチョコを抱えていたからだ。中には私が奮発して買えなかったブランドもある。手の中で誇らしげにあった包みがとつぜん輝きを失った。
彼はすぐ私の気配に気づいたようだった。
「マイ・レディ」
太陽の騎士がうかべた笑みはチョコと同じぐらい甘い。「私ではあなたの贈り物をいただけないでしょうか」
私はくしゃっと乱雑にチョコの包みを握りしめた。
「でもガウェインはたくさん貰っているでしょ…」
「あなたのものは別格です」
どの方の贈り物も嬉しいですけれどね、と彼は言った。
「どうか私にあなたとの甘い一時をわかちあう機会を与えてくださいませんか」
両手いっぱいにチョコを抱えながら騎士は私の手をとった。バレンタインデイの甘い夜は更けていく。
4粒目
後日、マスターにお手紙が届きました。