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 =9粒目 モードレッド=

 叛逆の騎士とは聞いていたけれど、彼女はちっとも私の指示に従ってくれなかった。ランスロットやガウェインと話していると「ハ、どうせ従順な騎士ごっこしているヤツとしか合わないんだろうさ」と文句ばかり言ってくる。
 そろそろ私も小言をいわれるのが嫌になってきた。
「――わかったよ、モードレッド」
 指示に反抗した彼女をすんなりと受け流した。「貴方の言うとおりだね。お互い嫌な思いをしたくないだろうし、他の人にもお願いするよ」
「っ……!」
 その日の夜、シュミレーターから部屋に戻るとテーブルに小さな包みがあった。包みからは上品なバラの香りがした。
 ――こんな贈り物をしてくれるのは誰だろう?

 次の日、食堂でそれっぽく思った人に声をかけてみた。「ねえガウェイン。昨日、私の部屋に包みを置いていった?」
「いいえ、マスター。私なら昨日――…」
 ガンッ。
 後ろでにぶい音がして、壁にうちつけられた拳と打った人物を、交互に見る。
「な、に……モードレッド?」
「うっせえよ。騎士道ごっこなら他所でやれ」

 どすどすと肩を怒らせて彼女は去っていく。…なんだろう。でも贈り主をホワイトデーまでに見つけなきゃ。
 私と彼女の距離はまだ一万歩ぐらいあった。

9粒目


 結局贈り主は見つからなかった……テーブルに置いておいたお礼の手紙はなくなっていたけれど。

写真


ちょっぴりごんぎつねみたいなモーさん。


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