解説『ケルトの紋様』



ケルト文化に興味がある方はよかったら読んでみてくださいね。

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(版権なしの地図が見つからなかったので国境は手書きです)

★ケルト人とは?
クーフーリンはケルトの英雄です。
ケルトとは、単一の民族ではなく「西方ヨーロッパに住む異民族」を前7世紀にギリシア人が「ケルトイ」と呼んだことに由来します。ギリシア人は「ケルト語を話す集団」「文化や服装が似ている人々」をざっくりケルト人と呼びました。
そのため、ケルト人といっても住む場所も信仰も異なる多数の民族がいます。

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(画像はUffington White Horse)

・大陸ケルト(カエサルが戦った)
 …ローマ、ゲルマン人に吸収される。
・島嶼ケルト
 …ローマ人、アングロサクソン人の侵略をうけつつも、脈々とその文化をながらえました。クーフーリンたちは島嶼ケルトの神話です。

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★ケルトの文化
文字に残す習慣がなかったので、同時代のギリシア・ローマ人の記録が資料になります。
@ 社会
ドルイド僧・戦士・平民にわかれる。祭祀・戦争・生産の階級分担がはっきりしていたことがわかります。
A 宗教
自然・多神教。とくに木と石(アーサー王の石に刺さった剣もここに由来するのでは?)。
同時代に発展した“人間中心”のギリシア・ローマ文化とは大きく異なります。
B 妖精の世界
かつて地上を支配していた神々はアイルランド人の祖先に敗れて去り、海の彼方や地下の異界に国を作り、さらに弱体化したものが“妖精”になったと考えられています。
クーフーリンの物語には、太陽神ルグ(ルー)や戦いの女神モリガンが登場します。
クーフーリンが「光の御子」とよばれるのは父親からだったんですね。フィン・マックールの時代には神々が弱体化し、妖精として扱われています。

★女性の生き方
 有力な資料をみつけられていません。スカサハやアイフェのような女戦士はいるので、実力主義の社会だったのかも。でも戦士になるのと家庭に入るのとは違うんじゃないかな、と思って今回の物語を書きました。よい本がありましたらご紹介ください。

★ケルト文化の再発見
残念ながらケルト神話が文字になったのは、キリスト教が浸透した11世紀以降です。きっとそのときキリスト教に有利な文化に変えられてしまったでしょう。
18世紀にロマン主義が台頭すると、ケルト文化は人々の関心をあつめ、研究がはじまりました。不明なことが多いぶん、新発見によって大きく変わる可能性があり、歴史ロマンを駆り立てられずにはいられません。

参考:
『図説 ケルトの歴史』『ケルトを知るための65章』
『北アイルランド「ケルト」紀行』
『世界女神大図鑑』
(探し中『ケルトの神話―女神と英雄と妖精と』)


★サトクリフ著のおすすめ(FGOファン向け)
『闇の女王にささげる歌』
 …女王ブーティカの物語
『炎の戦士クーフリン』
『黄金の戦士フィン・マックール』
『アーサー王伝説』三部作
ギリシア神話の物語も良いです。




灰色の馬

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