偽りのカレンデュラ 



 それからあたしは、渋谷駅まで駆けた。

 何度も何度も膝に手を置いて休み、腰に手をあてて歩きもしたけど、息をつづけていられると確認次第、すぐに駆けた。

 フェンス越しに駅のホームを見渡せる、長い長い車道。スマートフォンを操る黒人男性や、カキ氷をかきこむ男子高校生や、噂話に花を咲かせるギャルママを不細工に追い越す。そして何度目かの休憩に仰いだ渋谷の天空はとうの昔に、絶えない明日を孕ませる偉大な夜となっていた。

 見慣れた夜景が、やっぱり馴染まない。




    238    
 




Nanase Nio




「おっさん受け」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -