“子は親を選べない”
“親は子を選べない”
だからこそだ。
「除け者にはできないんだよ?」
つぶやくと、パパはかすかにうなずく。
とっくに知ってるらしかった。
子供の本音。
「嫌いになれないから、苦しむんだよ?」
すると、不意にパパはふりかえり、またかすかにうなずいた。
そして、いった。
「俺は、その感覚には恵まれなかった」
桜が散っていた。
「おばあちゃんが本当の親ならよかった」
はらはらと、
「苦しんでみたかった」
ひらひらと、
「突き放してしまった」
舞っている、その向こうに、
「救急車も呼ばずに」
おばあちゃんのお墓がある。
「俺が殺したようなものだ」
じゃあどうしてお墓なんか……。
いや、きっと、
“罪”を経て、パパはやっと、
やっと、
おばあちゃんの息子に、なれたんだ。
【完】
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