栞

この世のルール A 起因の区分
空美は静かにしていたい




 この世では、幽体について、以下の区分が為されている。



通常型 つうじょうがた
不明型 ふめいがた
被害型 ひがいがた
突発型 とっぱつがた
大悟型
たいごがた



 通常型とは、家族や友人に看取られながら死を迎えたひとのことを指す。不明型とは、通常型とは逆に、孤独な死を迎えたひとのことを指す。被害型とは、第三者の手によって殺害されてしまったひとのことを指す。突発型とは、どのような状況下であれ、とにかく即死だったひとのすべてを指す。大悟型とは、死ぬ直前までのうちにができていたひとのことを指す。

 これらの区分をだれが決定するのかというと、日本のこの世を統治する政府『幽体協同組合ゆうたいきょうどうくみあい』──略して『幽協』だ。

 区分の決定順序としては、まず最初に、突発型か否かの判断からはじまる。これが「否」だった場合、つぎに被害型か否かの判断へと移行する。これも「否」だった場合、通常型か不明型かの最終審査にて区分完了コンプリート。ただし、大悟型だけはこのフローチャートの対象とはなっていない。なぜならば、大悟型は滅多に出現しない幽体だから。いちおう、万が一のために突発型と同系列に並べてはいるものの、実際に審査対象となることは稀なのだそう。大悟型が滅多に出現しない理由は、まぁ、なんとなくわかるような気がする。

 で、じつは、私は突発型だった。まさかまさかの即死だった──脅すだけのつもりだったのにな。

 あ、あと、もちろんテトさんも突発型。

 ちなみに『起因きいん』とは、あの世でいうところの「死因」のこと。とはいえ、あくまでも役所機関における書類上の用語にすぎず、日常的に飛び交う言葉ではない。




    表紙に戻る    

Nanase Nio
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -