空美は静かにしていたい
──今日、私は大きな失敗をした。のこのこと、ごたいそうなため息さえもつきながら現場へとおもむき、なにもできずに撤退するという失敗を。
いや、それは今日にかぎった話ではない。やるだけのことはやったと納得できるような日など、片手で数えるほどしかない。
そう、大きな失敗とは、また今日も失敗したということ。失敗をくりかえしているということ。
失敗。
今日も、私は大きな失敗をした。
また、失敗するだろう。
そしてこのループがやがては取りかえしのつかない悲しみを生むことを、しかし、いまの私には想像できなかった。
まさか失うだなんて、思ってもみなかった。