Vignette 

Category : Diary
Update : 2015/04/04[Sat]04:00



 現在、改めて痛感している。

 散華率30%の桜って、無気味。

 薄紅色で敷きつめられてある時は思いもしなかったけれど、少し欠けてくると、枝や幹の茶色い部分がぷつぷつぷつぷつと露になって見られる。自然な現象だが、とかくぷつぷつの斑模様が大嫌いな私としては「気色わるい」のひと言に尽きる。

 なにせ私はトライポフォビアのケが多いにあり、ぷつぷつとした状態のものを見ると怖気や寒気や嘔気おうけが走る。いわゆる「はすコラ」なんて見られたものではない。



※穴の集合体(蜂の巣穴や蓮の花托かたくなど、細かな点の凝縮)に対する過度の恐怖症のことを「トライポフォビア」と呼ぶ。日本では「集合体恐怖症」という俗称も。

※蓮の花に特有の、ぷつぷつとした種子の様子をそのまま他の画像にコラージュしたものを「蓮コラ」と呼ぶ。グロテスクにもホドがある危険画像として有名。よって「蓮コラ」を検索するのには注意が必要。人によっては夢に見るほどの生理的不快感を抱きかねない。冗談でもなんでもなく安易な興味本位で画像検索したせいで私は長く悪夢を見つづけることとなった。



 そう言えば。

 幼少期、床屋(美容院?)を模したオモチャがあったっけ。中が空洞となっている人形で、色のついた粘土を詰めてオモチャを作動させると、頭部にあけられてある細かな穴から、むにむにむにむに──ミミズのように粘土の髪の毛が生えてくるという機構システムだった。そして、それを付属のハサミで整えてやることで美容師気分を味わえる。

 私は、とにかくあのオモチャがダメだった。ぷつぷつとあけられた細かな毛根あなの集まりが生理的に受けつけず、さらには、ミミズの群れがいっせいに生えてくるわけだから拷問に等しい。恐らくは今でも怖気を走らせる代物に違いない。

 散華率30%の桜もまさにソレ。散って欠けた部分に枝や幹の茶色が浮かびあがる。それがぷつぷつとした斑模様を形成し、たちまち私の不快感を刺激する。

 桜は9分咲きが最も美しいとされるが。

 確かにそうなのかも知れない。少しだけ欠けているところに美を感じるのが日本人という民族だし、トライポフォビア的にも、9分ならばまだ許容範囲と言ったところ。

 7分咲きは地獄である。

 欧米人や中国人からも注目されるようになった桜。また、一方では染井吉野の起源に関して日本と某国とでモメるほどの花ともなった桜(アフリカや古代ローマといった奥の手があるかぎり起源論争はアテにならないし、どのみち脈々と大地が流動しつづけて現在に至るのだと考えればもっとアテにならない──というのが私の個人的見解)。いずれにせよ、日本だけの文化とは言えなくなりつつある美の代名詞ではあるが、日本人のすべてが桜の1から10までを美しく感じているわけではないということを声を大にして言いたい。7分咲きの桜の下でお花見をするだなんて私にとっては狂気の沙汰

 やはり桜は魔性の花か。





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Nanase Nio




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