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Category : Diary
Update : 2014/03/31[Mon]19:00



 六義園りくぎえん

 JR駒込こまごめ駅の程近くで仕事だったため、終業してからふらりと立ち寄った。

 桜の名所だそうなので、1度は拝んでみたかった。今日が今年で最後になるかも知れない花見のチャンス、まさか逃すはずもあるまい。

 入園料は300円也。

 どのルートをどう歩こうが自由。一部の場所の入場には別途でお金がかかるそうで、また一部で改修工事が行われているため通行不可の部分もあるけれど、おおむね入園料だけで自由に歩き回れる。むろん、お茶屋で飲食したければ購入費は必要。

 とりあえず時計回りに歩いてみた。

 トトロの出そうな山村出身者の私にとって、道中の自然にさほどの感動もなく。むしろ日本の造園技術のほうを楽しんだ。

 で、1本目の枝垂しだれ桜に到着。この季節になると必ずニュース番組などに取りあげられる有名な桜だが、

 

 ご覧のアリサマなので堪能しづらい。また、テレビで観るよりも小さく感じた。まぁ、ライトアップされれば勇壮に見えるのかも知れない。

 人込みに辟易へきえき(自分もその一員であることは棚上げ)しながらその場を離れ、再び時計回り。

 途中の、

 

 この景観はよかった。思わず10分以上もたたずんで眺めてしまった。

 で、2本目の枝垂れ桜に到着。メジャーな桜は2本あるのだが、私はこっちのほうが好きかな。

 なにしろデカい。

 

 六義園は、元禄15年(西暦1702年)に川越藩主の柳沢吉保やなぎさわよしやすがプロデュースした回遊式の築山泉水つきやませんすい庭園。柳沢の教養がちりばめられ、園内88ケ所に名勝を持っている。古今和歌集の序文に見られる「六義」にちなんで命名──日本を代表する、和歌にも愛される大名庭(だそう)。

 駒込駅から徒歩2分ほど。

 周りを囲んでいるビル群を上手に隠し、よもや東京にいるとも思えない古典日本を創造している。これらの造園技術はさすがとしか言いようがなかった。

 が、来園者のほとんどが最新のスマホやらなんやらを掲げていたせいで東京以外のなにものでもなかった。私の手にしているガラケーが戦後復興期の映写機かと思うほどにだ。

 大した写真も撮れず、3枚だけにして、あとは花見に努めた。お茶屋さんで桜色のアイスを買い、枝垂れ桜を眺めながら食べる。

 ……あんまり気持ちが盛りあがらない。

 甘酒でも買って飲んでいれば多少は趣が違ったかも知れない。が、私にとって甘酒の味はギャンブルでしかないので却下。とっととアイスを食べ終わると、とっとと退散。

 別世界を期待してたんだけど、現実でしかなかった。

 で、駒込駅前まで舞い戻る。

 そこにも桜が咲いていた。

 

 六義園に奪われでもしたか、見上げる客は少ない。おかげで、冷却された私の気持ちはほんのちょっとだけ持ちなおした。

 いちばん長く花見してたかも。





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Nanase Nio




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