Vignette 

Category : Review
Update : 2015/01/07[Wed]02:00



 外面的な座りはよく、落ち着きがあり、冷静そうな印象を与えるが、内面的には利益や時間の浪費を好まず、また、長期的に物事を学ぶ手前ですでに一定の自己解答を見出している傾向。ゆえに、情報交換にのみ伝達行為をとどめて癒着には与せず、第三者と距離を置いて淡白ドライ、また、物質的な贅沢ぜいたくを危険と断じ、言動に整合性を求め、説明のつかない体験よりも説明があっての理論を優先、物事に対して常に迅速な自己処断を計り、迅速な処置にあたる……かのように第三者の目に映る傾向。

 俗に言う「ゆとり」のお話である。

 が、私はこの通り名に違和感をおぼえている。

 上記の、私の考察する傾向をかんがみるに、命名されているほどにはゆとりがない印象を受けるのだ。精神的にも経済的にもゆとりがあれば自然と無駄な行為にも走ろうというものだが、しかし彼らの趣が無駄な行為へと向くことはない。むしろ、液晶画面のドットのように隙間なく価値観が整列しており、乱れがなく、ある種の窮屈ささえもおぼえる。自分のロジックに縛られている──「自縄自縛の状態にある」と表現しても良いのかも知れない。

 ゆとりがないのに「ゆとり」と言う。

 あべこべなのである。

 ……などと随想家エッセイストを気取って語ってみたが、実は私は「ゆとり」に関して詳しくない。ウィキペディアで調べてみたが残念ながらちんぷんかんぷん。わかったことがあるとすれば、本来、ゆとりとはもっと細分化された学術的観念だということ。つまり、スラングとしてあつかうことがそもそもの誤りだということ。少なくとも、揶揄やゆするための小道具ではないということ。

 しかしながら、本来の意味を離れ、特に高年者が若年者を皮肉り、揶揄するための優秀な道具として「ゆとり」という観念を利用していることもまた現実。該当世代には実に迷惑な話であり、また、若年というだけで該当世代の一員にされている非該当世代に至ってはハタ迷惑にもホドがあるという話だろうが、現実は現実である。

 要は、フラグを立てて嘆きたいという悪趣味を持つ、我こそは立派な高年者であると自負している雲屋助平が編み出した自慰行為に他ならない。もともとが統計学の介入する社会学識なのだから「すべての該当世代がそうである」と唱えること自体、大いなる矛盾。ならば「不当なるオナニズム」と表現したって差し支えはなかろう。

 が、現実は現実である。

 私が考えるに、通俗化した「ゆとり」の正しい使い方は、ひとりの対象の全体を指して使うのでなく、あくまでもひとつの状態として使う。例えば「おまえってゆとりだよなぁ」ではなく「おまえのその部分はゆとりに該当するぜ?」という使い方である。

 というわけで、時代遅れにもいまだ雲屋助平のハラスメントを受け、辛酸しんさんめている若年者に向けて私はこう言いたい。

 なにせ、スラングとしてこうも定着してしまった現実である、今さら白紙へと戻すことは革命的に難しいだろうが、結局のところは時間の問題である。あとちょっと頑張れば社会や組織に影響を与えられる管理職となるのである。将来、すっかり社会的立場が逆転した時、負け惜しみをツイートするしか術のなくなった雲屋助平を「ゆとりがないね」と嘲笑えばいいのである。

 未来は明るいんだぞ?

 ……などと、なにゆえやぶから棒にこんな三文芝居をト書きしたのかというと、つい先日、深夜のコンビニで「本来はこういうのをゆとりって言うのになぁ」と、前述のあべこべ理論に思い至ったからである(要するにこのエッセーこそ私の野外オナニーの舞台であったという曇りなき事実)。







ビートたけし&所ジョージ
FAMOSO 〜 ALL STARS
株式会社ネコ・パブリッシング




 今記事もまたレビューカテゴリである。が、コレをレビューするのもどうなんだ。しなくていいのではないか?

 だいたい、流しの立小便屋を営む「闇のホッとマン」こと滝村棹蔵たきむらさおぞうさんの苦節40年インタビューだったり、旧ドイツ軍の内部資料に楠田枝里子くすだえりこの設計図があったというスクープ記事だったり、大槻おおつき教授の宇宙人疑惑が通りすがりの宇宙人の密告によって持ちあがる記事だったり、高名な書道家の書捲筆吉かきまくりふでよし8段が流派復興をかけて秘儀をご開帳ののちにご乱心めされる記事だったり、最凶武道家である正刈金太郎まさかりきんたろう氏とスゴ腕のマタギである熊田撃造くまだうつぞう氏による熊退治に角田信朗かくだのぶあき氏も絶讃する記事だったり、ウミガメの弾き語りでUKのパンクシーンを炎上させている兄弟デュオ「伊‐56」に単独インタビューした記事だったり、孫の手販売最大手「マゴノテックジャポン」にまたしてもリコールが発生した記事だったり、欧州サッカー界の期待の新星ゴールキーパーであるポール・チンコ・ブラリーノの神業がモスクワ大学宇宙物理学教授カリダカビッチ氏の分析によって紐解かれる記事だったり──そういうのが目白押しなのである。

 間に挟まれる広告も、玄界灘五郎げんかいなだごろうの新曲「拿捕だほの父」の宣伝や、話題騒然のお手軽ウィッグ「特盛り君」の宣伝や、無免許で事故ったけど大丈夫だったという「武ちゃんの自動車保険」の宣伝や、最大1800oのブッ飛び精子発育プログラムで妊娠を約束する「北野レディースクリニック」の宣伝などなど。

 ノンフィクションの部分は発行出版社のクレジット&バーコードだけという。

『FAMOSO』はレビューする類いの雑誌ではない。

 が、ひとつ、確実に言えることがある。

 不定期ながらも毎回購読している私だが、今回のベスト版を読んで改めて思った。この2人の大御所はゆとりがヒドい





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Nanase Nio




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