Vignette 

Category : I Think
Update : 2019/08/12[Sun]19:30



「日本の野良猫は穏やかで可愛らしい」
「私の国の野良猫は野性的で攻撃的」

 いつのことだったかは忘れたけれど、日本の猫が外国人に大人気──という話題トピックをTV番組に見た。ニュース番組のひとコマだったか、いや、もしや YouTube だったかも知れない。ともあれ、日本の野良猫に会うことを目的とした訪日が増えているという内容のものだった。それで、この時にインタビューされた訪日外国人の、日本の野良猫に対する印象が上記のとおりだ。

 で、私は YouTube の猫動画もよく見る。飼い主が公開アップしたものから、雑多にある動画をランダムに選んで混成マッシュアップさせたものまで様々。それも日本国内の動画にかぎらない。世界中の猫動画をよく見ている。

 のだが、ちょっと気になることがあって。

 わりと海外の猫動画に多いような気がするんだけど、なんと言うか、とにかく「猫への接し方がざつ」なのだ。あるいは「粗略ぞんざい」──とでも言おうか。

 例えば、撫で方にしても外国人の場合はかなり強引。がっつりと撫でる。まるで犬に「よしよし」するかのように、がっつりと。

 猫って、これがお嫌いらしい。

 指先で優しくさわさわと撫でていても、あまり撫ですぎると途端に猫はイヤがる。しっぽをぱたぱたと振りはじめたら不機嫌の合図、急に引っかいたり噛みついたりすることがある。どうやら「もういいよ!」という感情らしいのだが、まぁ、要するに猫ってそういう生き物だ。その事実、たいていの日本人はよく知っている。自由気儘のお天気屋──その事実を見込んだ上で日本人は猫と接している。

 ところが、海外の猫動画を見ていると、しっぽをぱたぱたとさせはじめようが、引っかこうが、噛みつこうが、容赦なく、遠慮なく、がっつりと撫でている。引っかかれていったんは距離を置くのだが、なぜかふたたび撫でる。場合によっては腕力で押さえつけ、完全に固定クラッチした上で撫でたりしている。執着的しつこい。なんのチャレンジ精神かと思ってしまうほどに彼らは諦めない。で、そんな自分のことを「猫好き」と自負している印象さえ受ける。これは最大限の愛情表現であり、一部の隙もない動物愛護精神なのである──と自負している印象。

 でも、猫にしてみれば「ありがた迷惑」でしょう。動画の至るところに迷惑そうな感情が充満してもいる。それを見て、私も思わず「もうやめてあげて」という気分になる。

 撫でるだけならばまだいいほうで、意図的に猫をびっくりさせるものも多いし、ラジコンカーに乗せるものもあるし、わざと威嚇させるものもあるし、わざと怯えさせるものもあるし、無理やり手で変顔にするものもある。で、その反応を笑う。見ているこちらが引いてしまうものが多い。

 むろん、日本人にもこういう人はいるだろう。愉快犯としか思えない動画も、ないわけではない。そしてむろん、外国人にもこうでない人はいるだろう。ちゃんと良い距離を保っている動画も、ないわけではない。

 ただ、あくまでも比較の話だが、外国人と比べたら、日本人のほうが遥かに猫のあつかいを熟知しているような気がする。深追いせず、遠くから目を細めて眺めている日本人のほうが圧倒的に多い。たまさか触れさせてもらえれば重畳ちょうじょう──ぐらいのスタンスだ。

 実際、日本の猫動画は観察モニタリング 的なものが多い。放ったらかしにしつつ、勝手気儘な彼らの行動を遠巻きに観察するもの。逆に、海外の猫動画は試遊プレイアブル 的だろうか。常に撮影者の掌中や懐中に彼らを置き、人間に近い行動を期待するもの。

 まぁ、宗教的な違いもあるのかも知れない(もはやいちいちあげつらわないが)。

 もちろん私個人の見解にすぎないが、海外の猫動画を見ているかぎりで言うのならば、外国人の猫への接し方が恐ろしく雑──というのは否めないような気がしてならない。

 で、冒頭の文言。

「日本の野良猫は穏やかで可愛らしい」
「私の国の野良猫は野性的で攻撃的」

 これに対し、

「でしょうね」

 率直にそう思った。

「雑だもんね」

 率直にね。





    8    
 




Nanase Nio




×
「#切ない」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -