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Category : Playhouse
Update : 2019/07/17Mon00:00



 ちらちらとではあるが、私は YouTube を観ている。



 昨年、ファッションモデルで女性俳優の本田翼ほんだつばささんが、ゲームの実況チャンネル『ほんだのばいく』を立ちあげたという話題トピックはまだ記憶に新しい。わずか数日間で天文学的(?)な視聴回数を叩き出し、多くのゲーム実況者たちが相継いでかれ──要するにいちいち反応し、世間から「余裕なさすぎて草」と断ぜられる結末を迎えたわけだが、まぁそれはいいとして、彼女の手がけたようなゲーム実況動画の類いを、残念ながら私はほとんど観ない。だって観てると遊びたくなるから(よゐこのせいでマイクラにハマった私)。

「○○してみた系の動画」はと言えば、若きユーチューバーたちと老いた私の趣味嗜好の落差ギャップが広すぎるのでもっと観ない。むろん私のほうに問題があるのだが、なにはともあれ「若いね……」という毒にも薬にもならない感想しか出てこないのは虚しいものである。

 本音を言えば、知る人ぞ知る熟年のセミプロが自身の知識や職人芸を遺憾いかんなく駆使して淡々とプラモデルやジオラマを作りあげるような、静けさのあるアダルトな動画を観たい。のだが、やはりその手のものは埋もれてしまっているらしく、思うようには見つからない。理想をあげるとすれば世田谷一郎所ジョージさんの動画だろうか。名付け親は北野武ビートたけしさんだそうだが、とにかく、余計なBGMに頼らず、余計な演出を加えず、淡々と静かにプラモを作り、思い出したようにテキトーにギターを爪弾く動画。さすがと言うかなんと言うか、まさに我が理想のチャンネルであり、私はこれを頻繁に観ている。ああいうのがもっと増えればいいのにさー(でも Kazu Channel のDIY動画は好き)。

 では、なにをメインに観ていたのかと言えば、コンピュータゲームのリアクション動画である。特に、外国人が投稿アップしているものを私は好む。また、同一作品に対する複数のリアクションをい交ぜにしてある、いわゆる「マッシュアップ系」も。

 コンピュータゲームのリアクション動画とは?

 例えば、アメリカで開催されるコンピュータゲームの見本市『Electronic Entertainment Expo(E3)』や、任天堂にんてんどうが主催する見本市『Nintendo Direct』など、各ゲームクリエイト会社の新作発表の場があり、トレイラCMが流される。流される媒体メディアはイベント会場の巨大スクリーンやインターネットなど様々である。で、その新作動画や続報動画を一般のゲームファンが閲覧し、驚いている様子や歓喜している様子をビデオにおさめて YouTube へと投稿するわけである。これを「リアクション動画」と言う(ゲームばかりでなく映画のもあるけど)。

 なにしろ、外国人のノリは格別である。ほとんどバカ騒ぎ。悲鳴。絶叫。阿鼻叫喚。OMGオーマイガーしか叫ばない人もおり、彼らの近所迷惑を心配してしまうほど。だが、面白い。カメラを意識するあまりに必要以上に興奮してみせる投稿者もわりと見受けられるが、そんな彼らのひねりのなさも面白かったりする。これが日本人の場合だと、しばしば日本人特有の潜在的な理屈っぽさや評論家意欲が顔を覗かせるため、絶望的にネクラなコメントで占められる傾向にある。同じく理屈っぽい私としては「そんなんどうでもいいから」というネガティヴな気分に陥る。しかし、多くの外国人の場合、そういうお通夜のように湿っぽい雰囲気は漂ってこない。

 静けさのある動画を観たいと言っておきながら、それとは対極にあるバカ騒ぎの動画を観ている。オススメは、

Roger 兄さん(四天王)
Murder 君(四天王)
・ ガイル君こと Etika 君(四天王)
MissClick のアネキ(四天王)
KeybladeSarah(ほぼ『Kingdom Hearts』専門)
Cinnamoniboni(動画ブログ系もやる女子)
JocieMaMacie(聡明女史)
Teysind(癒し系男子)

 といったところか。

 彼らは、そこらの日本人よりも日本のゲームに詳しい。例えば『塊魂かたまりだましい』の歌を知っていたりする。身体の一部を見ただけでそのキャラクタが『悪魔城ドラキュラ』のシモン・ベルモントであることを言い当てたりもする。さらに、すべてのゲームに関し、彼らは非難や揶揄やゆをしない。すべてのゲームタイトルを肯定し、好意的に受け止める。底抜けに明るいし、うるさいし、もちろん実況技能にも優れているし、あとミスクリネキは可愛いし、サラちゃんも可愛いし、シナモンちゃん可愛いしジョセリン女史美人だしテイシンド君イケメンだし──みな素晴らしい人間性の持ち主である。

 で。

 昨年の話だが、任天堂ダイレクトのほうがお祭り騒ぎとなっていた。ゲームソフト『大乱闘スマッシュブラザーズ・スペシャル』──英題『Super Smash Bros. Ultimate』の発表がその理由である。任天堂の歴代ゲームキャラのみならず、他社を代表するキャラクタまでもが一堂に会し、単純明快なバトルを繰り広げるアクションゲームシリーズの最新作。ファンはこれまで、どのキャラが登場するのか、どのキャラが除外リストラされるのかで一喜一憂してきたわけだが、今作では歴代のキャラが全員登場──つまりキャラのリストラが1人もいないということで、恒例のお祭り騒ぎにもよりいっそうの拍車がかかっていた次第。思えばディレクタのダディ桜井政博マサヒロサクライは世界一有名な日本人だったっけ。

 このゲームの中に、新キャラとして、先にあげたシモンがいる。KONAMI の不朽の名作『悪魔城ドラキュラ (英題:Castlevania)』の初代主人公。実はスマブラをやったことのない私だが、子供の頃に『悪魔城ドラキュラ』のファミコン版とMSX2版の両作をプレイしまくった者として、思わず「ほう」と悦に入ったものである。加えて、海外でもいまだに高い人気を誇るこの作品、リアクション動画の充実たるや想像を絶するものであり、オールドユーザの私をさらなる法悦の境地へといざなったことはもはや言うまでもない(渾身のダジャレ)。が、日本人のリアクション動画のほうはと言えば、残念なことに「コイツ誰?」だった。あの伝説のシモン老師を知らんのか!?──と思ったものだが、やはり彼らはみな若い、何十年も昔のゲームを認知しておらぬのも詮方せんかたなきことだったのやも知れない。

 ちなみに、件の『悪魔城ドラキュラ』と言えば、やはりBGMだろう。ひとたび聴けば永遠に耳を離れないキャッチィなオカルト音楽ばかり。しかも海外においては、ヘヴィメタルアレンジをして演奏、YouTube に投稿する兵者もののふまでいる始末。世界に愛される名曲の玩具箱トイボックス──決して過言ではない。

 さて。悪魔城ドラキュラにかぎらず、私はこれらアレンジ演奏の動画もよく観る。もちろん、クオリティはピンキリ。しかし、海の向こうに住む人々がありったけの情熱を日本のゲーム音楽に傾けてくれている事実は、日本人としてありがたく、嬉しいものである。単純に嬉しく、なので私は「ゲーム音楽のアレンジ動画」もよく観ている。オススメのミュージシャンは、

RichaadEB(メタルアレンジ系)
ToxicxEternity(メタルアレンジ系)
GaMetal(メタルアレンジ系)
FamilyJules(メタルアレンジ系)
Beyond The Guitar(クラシックギター)
Kara Comparetto(クラシックピアノ)

 この6組。聴けばわかるが、たぶんみんなプロ(余談だが、 FamilyJules とプログレメタルバンド『DREAM THEATER』のギタリスト John Petrucci がスーパーマリオの曲をった動画は容赦なく私を卒倒させたものである)。



 というわけで、ちらちらとではあるが、私は YouTube を観ている……ここまでが私の近況報告。



 





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Nanase Nio




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