ソウルのクロバット視点


今日も今日とてマスター達を見守っている。そんなオイラはクロバット。何を見守っているのかって?もちろんマスターとマスターのライバルであるコトネの恋の行く末に決まってるぜ。見守るっていってもボールの中からじゃあ外の事は分からねえから耳を澄ませてるだけなんだけどな。盗み聞きだなんて言っちゃあいけねえよ。
さて、今オイラ達はタマムシデパートに買い物に来ている。もっとも買い物するのはマスター達だけどな。それはともかく、まあ、あれだ。マスター達はでえとってヤツの最中だ。

「ねえ見て見てソウルくん、ピッピ人形だよ!やっぱり可愛いなー。買っちゃおうかなー。あ、でも使うの勿体ないから部屋に飾るのもいいかも!」

「ああ?お前そんな餓鬼くせえのが欲しいのか?」

「餓鬼臭いって何よ!わたしと同じ年頃の女の子だって人形の一つや二つ買ってるもん!」

「ハッ!お前にも女らしい面があったなんてな!」

「な、なんですってー!?」

あーあーコトネがすっかりご機嫌斜めになっちまった。マスター、あんたは本当に素直じゃないぜ。今日のためにマスターがでえとこーすをちゃっかりバッチリ調べてたのをオイラは知ってるんだぜ。

「…チッ。それよこせ」

「ちょ、なによ!?」

何だ何だ?レジの兄ちゃんの声が聞こえるぜ。ん、1050円?しかしこの兄ちゃん愛想がいいな。ってそんな事はどうでもいいか。

「…ほら、やるよ!」

「え?」

「勘違いするなよ!これは俺用に買ったんだ!」

「…はい?」

「でもよくよく考えたら俺は使わない。だからお前に譲ってやるって言ってんだ!」

うーん、細かいことはよく分からねえけど、マスターがコトネに人形を買ってやったっていうのは理解出来た。ふう、やっぱマスターは素直じゃないな。

「…ありがとう!大事にするね!」

「フン!さっさと次行くぞ」

「うん!」

どうやらコトネの機嫌も直ったらしい。これで一件落着か。大喧嘩にならなくてホッとしたぜ。全く、マスターは不器用だ。聞いてるこっちは冷や冷やもんだ。なあ、オーダイルの兄貴。だけどマスター、最近のあんたはコトネばっかりだ。たまにはオイラ達の事も思い出してくれよ。みんなあんたに構って貰えるのを待ってるんだぜ。なーんて、あんたには聞こえねえか。それにしても、まさか出会った頃はこんな風に思う日が来るなんて思ってなかったんだぜ。今となってはマスターのために日々奮闘中。最近はだいぶこの姿にも慣れてきた。紫ボディ、おまけに素早い。木には上手く留まれなくなったけど、仲間やマスターが助けてくれるから安心だ。
今日も今日とてマスター達を見守っている。そんなオイラはクロバット。






「…か、買い物が終わったらハナダの岬に行ってみるか?」
「ハナダの岬?行く!」
(おおっいけいけマスター!)

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