ポッポの鳴き声で夢の世界から帰還する。開け切れない目で目覚まし時計を見れば、まだまだアラームが鳴る時間ではない。
カーテンの向こうは辺り一面、雪景色だ。マサラで雪を見るのは久しぶりだったので嬉しくなった。
隣で眠るグリーンは気持ちよさそうにすーすー寝息をたてている。グリーンの寝顔に眠気を誘われ、二度寝しちゃえとベッドに潜った。そうだ、後でグリーンやポケモン達と一緒に雪合戦でもしよう。





「…ってちょっと待てーーーい!」

やっと状況を理解し、一気に目が覚めた。わたしの叫び声に顔を歪ませながら寝返りを打つグリーンを、思わずベッドから蹴り落とす。

「…いってーな…何だよー…」

「何だよじゃないわよ!な、な、何でグリーンがここで寝てるの!?」

「俺の部屋の暖房が壊れちまったんだよ。寒くて寝れやしねえ。姉ちゃんと一緒に寝るのもアレだし…」

「レッドの部屋で寝ればいいじゃない!」

「無理。半ギレ状態で追い出された。…あ、おばさんにはちゃーんと、暖房が直るまでお前の部屋で寝させてもらうからって許可取ったぜ」

「だからって…!」

「まあ今更恥ずかしがんな。何年お前と幼なじみやってきてると思ってんだ」

「し、信じらんない…!」

年頃の女の子の部屋で、しかも同じベッドで寝泊まりするなんて。お母さんだってまさかグリーンがわたしのベッドで寝ると思って許可をしたわけじゃないだろうに。というか、わたしも一応女なんだけど女の子扱いされていないこの感じは何なの?あ、いや別に女の子扱いして欲しいとかそういうわけでは無くて!ただ仮にも女なんだから同じベッドで寝るのはやめておこうとかそういう配慮をして欲しいというか何というか…って今はそんな事はどうでもよくって!

「グリーンは床で寝てよ!」

「ケチくせえ事言うなよ。一緒に寝た方があったけえだろ?何もしねえから安心しろって」

グリーンはお構いなしにベッドに潜り込んで来る。

「ちょ、ちょっと!」

「何だよ?…ははーん。まさかお前、俺の事意識して寝れねえんだろ。あーそうかそうか、リーフは俺が大好きか!」

「誰があんたなんか!もういいからさっさと寝なさいよ!」

とりあえず壁際ギリギリまで逃げ、グリーンに背を向ける。しかし、何だか上手い事グリーンに丸め込まれた気がしなくもない。



「こうやって一緒に寝るのも久しぶりだよなー」

「そ、そうかもね!」

「なあリーフ」

「な、何?」

「俺におはようとおやすみのキスは?」

「…あるわけないでしょ!バカ!」

「ははっ冗談だから怒んなって!」




(ね、寝れない…!)
(…そんなに警戒する事ねえじゃんかよ)

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