家に帰る途中に偶然、博士の研究の手伝いをしていたユウキくんと鉢合わせした。彼も丁度帰宅するところだったらしく、そのまま我が家へ招待し、夕飯を一緒に食べて、今はあたしの部屋でくつろいでいる。



『トレーナーを求めて!今夜はホウエン地方のトレーナーを大特集!今回も私達、マリとダイの二人でトレーナーとポケモン達の素晴らしい勇姿をカメラに収めて参りました!まずはこちらのVTRをご覧下さい!』

何気なくテレビを付けてみれば、お馴染みのテレビ番組『トレーナーを求めて』の放送中で、ホウエン各地の一般トレーナーが紹介されている。あ、カチヌキ家の人達だ。



『…えー次にご紹介するのはハルカさんとユウキさんのお二人です!ではVTRをどうぞ!』

「…ええっ!?」

驚きを隠せずに素っ頓狂な声をあげてしまった。何であたし達の名前が。ユウキくんも声には出さないものの驚いているようで、目を見開いてテレビを見ている。

『あ!あなたはハルカさん!えーと…隣の彼は?』

「…ユウキくん!これって…」

「あ、ああ…」

撮影の場所からして、これは以前二人でミナモデパートに買い物へ行く最中だった時のだろう。確かに道中、あの二人と出くわしてバトルを申し込まれたっけ。ユウキくんがテレビに映るのは嫌だと言っていたから、まともにインタビューも受けずそそくさと逃げたのに、それでも紹介される事になるなんて思ってもみなかった。

『…ご、ご覧下さい!私達のポケモンが一瞬にしてやられてしまいました!何というコンビネーション!それではお二人に勝利後のインタビューを…。…ああ!逃げないで!』

カメラにはあたし達が走って逃げる映像までばっちりと収めてあった。スタジオから湧き起こる笑いに、恥ずかしくなる。こんなところカットしてくれてもいいのに。

『…えー、お話は聞けませんでしたが、とにかくお二人の強さはピカイチです!自信のある方は挑戦してみては?以上、ラブラブカップルのユウキさんとハルカさんでした!』

「…ら、らぶ…っ!?」

ボンッと変な効果音が響きそうな程、一気に顔が熱くなるのを感じた。いやいや、それよりもなぜあたし達がラブラブカップルという事になっているのか。横目でユウキくんを見やると、彼は未だにテレビを眺めたままだ。もしかすると、呆れて物も言えなくなっているのかもしれない。

「…わ、笑っちゃうね!ラブラブカップルなんて!ごめんね!」

気まずくて誤魔化してみたものの、何だか悲しくなってきた。本当はこうやって紹介されて嬉しかったというのに。

「…いけど」

「え?」

「…別に俺は嫌じゃないけどって言ったんだよ」

ユウキくんは振り向きもせずに部屋を出て行ってしまい、あたしはそれを止める暇もなく彼の背中を見送った。
ていうか、嫌じゃないって事は、それはつまりユウキくんは少なからず好意を持ってくれているという事で…。

「〜〜〜っ!!」

再び顔が熱くなるのを感じて、あたしはベッドにダイブした。






(あ、明日からどんな顔してユウキくんと会えば…!)
(…明日からどうしよう)

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