大好き!
アニスが冷蔵庫を開けて、弾んだ声をあげた。
「はい、完成〜!美味しそうに出来てるよ、ルーク!」
「へへ、アニスが手伝ってくれたからだな。ありがとな」
チョコの並べられたバットを受け取り、ルークも笑う。
「良いって!私も、チョコ作るの、付き合ってもらったし。
ほら、ラッピングしよ?」
「うん」
*****
夕食後、ジェイドとの二人部屋のベッドの上で、ルークはドキドキしながら待っていた。
カチャ、とドアノブの回る音がして、ルークはパッと顔を上げた。
「おや、私を待っていたんですか?」
ニコリ、と笑顔を向けられて、ルークはぼんやりと頷いた。
(うあー…何か、耳の後ろがドクドク言ってる…)
「可愛いことをしますねぇ」
クスクスと笑われて、ルークは恥ずかしさに俯いた。
ジェイドの笑い声が、ふと止んで、ルークはジェイドを見た。
動かない表情で、何かを凝視するジェイド。
その視線を追って……ルークは手にしていた包みを、見付かったことで急に恥ずかしくなって、咄嗟に隠してしまった。
ジェイドは、さらに表情を硬くして、ルーク、と呼んだ。
「な、何だよ……?」
「今日が、どういった日だか、ご存知ですか?」
「は…?バレンタインだろ?」
「知ってるんですね?」
ジェイドの声が低くなる。
「知っていて、受け取ったんですね?」
「はぁ!?ちげーよ、コレはお前に…!あ………」
明後日な勘違いをされて、ルークは思わず大声を出し、そしてその内容に、パッと手で口を塞いだ。
そろり、とジェイドを見上げると、驚いた表情を浮かべている。
その貴重な表情に、ルークは少しソワソワした。
「じ、ジェイド…?」
「私に、ですか?」
呆然とした声。
「ルーク、から?」
その驚きようが酷くて、ルークは少し腹が立った。
「んだよ、オレがジェイドにチョコやるのが、そんなに変かよ」
「いえ、」
パチパチと瞬きを繰り返し、ようやく我に返ったらしいジェイドが、微笑む。
「貴方から貰えると、思っていなかったので。
嬉しいです」
本当に嬉しそうに、そんなことを言うので、ルークは照れ臭くなった。
わざとぶっきらぼうに、包みを突き出す。
「すげー真剣に作ったんだからな、味わって食えよ…!」
「はい、ありがたく」
包みを受け取って、ジェイドはまた笑った。
「あ、あと………」
「はい?」
「だ、大好きだ!!!!」
また目を丸くしたジェイドは、ニッコリとそれはそれは嬉しそうに笑みを浮かべ、囁いた。
「私も大好きですよ、ルーク」
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アトガキ
生チョコ編は、あまあまでお届けしました♪
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