雲間から差し込む光のことを、 ある人は「光の梯子」と言い、 ある人は「黄金のロープ」と言う。 しかし、その人は「あれはスポットライトだ」と言う。 「あれは、罪人を衆人の前に曝す、残酷なスポットライトだよ」 そう言って、愉しそうに笑うのだ。 光 ******************** 虹が嫌いだ。 白く、幸福な光を、何故あんなに別けてしまうのか。 「我々だってそうだ。 完全なものの半分だけだ。私も君も、半分だ。だから、半身を探して、生きる」 嗚呼、君が私の半身なら良いのに! 巫山戯たフリして、嘆きあった。 虹 ******************** 空の青を映した水溜まり。 風が吹いて、波立って。 「コイツはきっと、海になりたかったのだろうな」 広く、広く、空より尚、青く。 船に見立てた葉は、波に飲まれて、転覆した。 「自尊心が高いな」とその人は笑った。 だって、小さな海ですもの。 水溜まり ******************** 雲が流れる。 差し込む光量が増える。 風が強い。 その人は服を翻して、凜と立っている。 光があると、とその人は呟く。 うん、と応える。 「光があると、陰が濃くなる」 でも、光がないと闇だ、と。 その人は言って、哀しげに俯いた。 陰陽 |