掌編 | ナノ






雲間から差し込む光のことを、
ある人は「光の梯子」と言い、
ある人は「黄金のロープ」と言う。
しかし、その人は「あれはスポットライトだ」と言う。

「あれは、罪人を衆人の前に曝す、残酷なスポットライトだよ」

そう言って、愉しそうに笑うのだ。






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虹が嫌いだ。
白く、幸福な光を、何故あんなに別けてしまうのか。

「我々だってそうだ。
完全なものの半分だけだ。私も君も、半分だ。だから、半身を探して、生きる」

嗚呼、君が私の半身なら良いのに!

巫山戯たフリして、嘆きあった。





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空の青を映した水溜まり。
風が吹いて、波立って。

「コイツはきっと、海になりたかったのだろうな」

広く、広く、空より尚、青く。

船に見立てた葉は、波に飲まれて、転覆した。

「自尊心が高いな」とその人は笑った。

だって、小さな海ですもの。


水溜まり



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雲が流れる。
差し込む光量が増える。
風が強い。
その人は服を翻して、凜と立っている。

光があると、とその人は呟く。
うん、と応える。

「光があると、陰が濃くなる」

でも、光がないと闇だ、と。

その人は言って、哀しげに俯いた。


陰陽








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