Animal Life



唐突だが、ジェイドはカラスだ。

一応、属している群れもあるのだが、ジェイドは彼らの低能さが気に食わなくて、あまり仲間だと思っていない。

人間がたくさん集まって、光る丸い物(「おかね」というらしい)と、食い物とを交換する場所には近付くな。
ジェイドは、仲間に言った。
何度も言った。
にも関わらず、楽がしたいのか何なのか、そちらに近づいては追い払われたり、罠に掛かったりする。

その頭の悪さが、更にジェイドを苛立たせるのだ。

それにジェイドは、既にそこにあるだけの食物よりも、生きたものを狩る方が好きだった。

虫などは勿論だが、特に小型の獣。
すばしこく、虫なんかより知能がある。
コレをどう追い詰め、どう狩るか。
計画を巡らせることが楽しく、成功すれば腹も膨れる。

実に楽しそうに、一羽で獲物を狩る漆黒の姿は、まさに鴉だった。



*****

ジェイドはたまに、動物園に赴く。

食事でも、狩りでもなく、知り合いに会わなければならないからだ。

「よう、ジェイド!今日も景気の悪い色だな!」
「突然、体の色が変わったりしたら、怖いでしょう」

そりゃそーだ、と馬鹿みたいに笑っている金色の獣。
四つ足に、フサフサとした鬣。
人間は彼を、「ライオン」と呼ぶ。(彼自身の名前は、ピオニーと言う)

昔、「動物をたくさん飼っている所なら、食事にありつくのも簡単だろう」と考えたジェイドは、安易に動物園へとやって来て、
何をどうしたのか知らないが、このライオンのピオニーに気に入られたのだ。

その時に、一週間に一回は必ず顔を見せに来ることを約束させられ(破ったら、何がなんでも檻を脱け出してやる、と脅されて)、今に至る。

ジェイドは、もし過去に戻れるなら、あの時の自分を絶対に止めに行く、と決心している。
何故なら彼は、信じられないほど簡単に、面倒事を引き起こし、挙げ句の果てにジェイドに押し付けるからだ。

「ところでな、ジェイド」

――ほら来た。

ジェイドは、内心肩を落としながら、溜め息を吐いた。

「何ですか、面倒は嫌ですよ」
「俺はめんどーじゃないから知らん」

堂々と胸を張る姿に、イラッとする。

「……それで?」
「ちょっとな、向こうに池があるだろ。
その脇の森にいるヤツらの世話を頼みたい」

ピオニーが指した方角には、水鳥を放してある池。
結構な距離のある場所の情報を持っているのは、知り合いでもいるからだろう。

「何がいるんです?」

訊ねたジェイドに、ピオニーはにたぁと笑った。

「見てのお楽しみだ♪」
「――私に拒否権は」
「無いな、当然」
「当然、ですか……」

ジェイドは、大きな溜め息を吐いて、行けば良いんでしょう、と呟いた。

「おう。んで、世話もしろ」
「全く……」



渋々、飛んでいった場所には、赤毛の子猫と子犬が、穏やかに眠っていた。




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アトガキ

4000hit、ありがとうございます!
あー、お話を……ぶっちぎってしまいました…。
こんなんで良いのか!?
まぁ、自己満足なので、良しとしちゃいます(笑)


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