お久し振りです、
初めまして



彼は、子供が嫌いだった。
特に、思春期と呼ばれる時期にあたる子供の、感情的なところが、それはそれは大嫌いだった。

「でな……!」
「んだよ、ソレ!だっせぇ!!」

ゲラゲラと笑う、一見ガラの悪そうな少年達。
その中の一人から、どうしても目が離せない。

緋色の長い髪を風に遊ばせ、翠の瞳は周りに合わせて笑っているのに孤独を抱いている。

その少年に駆け寄って、貴方は一人ではないのだと、

(もう、一人にはしないのだと、)

そう告げたくなる。

そう考えた自身の思考回路に、男――ジェイド・カーティスは、驚いて待ったをかける。


――知らない少年の筈ですが。


何故、そんなことを考えたのか、思考の海へと潜っていたせいか、件の少年と肩がぶつかってしまった。

完全に不意をつかれたため、少しよろめいて、慌てて目をやれば、翠の視線と交わる。

「すみません、少し考え事をしていたもので」
「おい、オッサン!てめー、自分がぶつかっといて、ソレだけかよ!?」
「他に何かあるんじゃねぇの!?」

ジェイドがぶつかった少年とは別の、周囲にいただけのもの達が騒ぎ立てる。

「私がぶつかったのは確かですか、逆に言えば、彼が私にぶつかったとも言えますよ?」
「んだと!?」
「おい、ルークも何とか言えよ!」
「…………」

綺麗な翠。
曇ることの無い、濁りを知らない、
美しい色。

その色から視線を逸らせないまま、それでも口からはスルスルと言葉が流れ出る。

ぶつかられた張本人は、一言も口を開かない。

彼も、ジェイドの瞳を見詰めていた。

「……オレ、このオッサンと向こうで話つけてくるわ」

しばらく無言で見詰め合い(傍からみたら睨み合いだろうか)、ルークと呼ばれていた件の少年は、ようやく口を開いた。

「一人でか?」
「オレらも手伝うぜ?」
「いや、一人で良い。お前ら、先行ってろよ」

ルークという少年は、実は彼らのリーダー格だったのか。

ジェイドがやや驚いている間に、少年らは渋々立ち去った。

その姿が見えなくなった頃、ルークが話しかけてきた。

「で、オッサン。何かオレに言いたいんだろ?」
「………貴方も、何かあるのでは?」

先程、互いの瞳の中に、何かを見出だしたらしい二人が、今度は視線を一切向け合わずに言葉だけを交わす。

「……何でか知んねぇけど、………なんか、久しぶり」
「えぇ、お久し振りです」
「…空が相変わらずきれいで、嬉しいんだ」
「そうですね」
「オレ、一人じゃねぇのに、独りなんだ」
「私がいますよ」

ルークが弾かれたように、ジェイドを見上げる。

ジェイドの赤い瞳が、優しく弛むのを目にして、ルークは慌てて俯いた。

「私がいます」
「………そっか」
「えぇ」






「で、オッサン誰」
「貴方こそ、どちら様ですか?」



出会って、そしてまた始まる。

懐かしい、新しい、何かが。

------------------
アトガキ
アビス、3DS発売記念!
何故か、現パロ。多分、生まれ変わりです。
何故、今頃かというと…忙しかったからです(泣)
とにかく、おめでとー!

back
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -