それは両立するか



「う…っ、ぁあ…っ!も、でない…ってェ、ジェ…ド!」
「そうですか」

淡々と答える姿は、熱の篭った室内においては、非常に不自然だった。

「あァっ!!はぅ…っん!!やっ、ぃやっ、ァ…、も…っ!!ぉ、ねが…っ!!」

掠れた涙声の懇願にもジェイドは反応せず、ルークの奥を男性器を模した玩具で弄ぶ。

俯せで、腰だけを高く上げ、ひたすらに蕾のみを弄られ続け、ルークはベッドのシーツに爪を立て、掻きむしって、快感から逃れようと藻掻く。

「やァっ、ぃや…っ、も…っ、でちゃ…っ、ぃっちゃう…!!…きたく、ないっ、ィきたくない…っ!!ぃあァぁあッ!!」

ガクガクと体を震わせて、ルークは達したようだったが、自身から流れるのは、既に色を失った、透明な淫液だけ。

「は…っ、ぁ、あ…ッ、ん…、は…」
「ご苦労様でした、ルーク」

息を整えながら、ルークの身体はまだ、びくびくと小刻みに震えていた。

ジェイドは、ほとんど身動きのとれないルークを仰向けにし、口移しで何かをルークに飲ませた。

「いまの…な、に…?」
「いやですねぇ、ただの栄養剤ですよ」

警戒するルークに、ジェイドは至極楽しそうに告げる。

じっと睨み付けても、いつもの胡散臭い笑顔のまま。

ルークの呼吸が整ってきた頃、ジェイドはルークの額に掛かる髪をそっと払ってやった。

その時、額に指先が触れただけで、ぞくっと背筋に快感が走った。

「ん…っ!なに…っ?」

ジェイドはクスクス笑いながら、ルークに覆い被さる。

「さて、今度は私が気持ち良くなる番…ですよね?」
「ふぁ…っん!」

鎖骨にキスを落とされると、それだけで背中が跳ねる。

「ジェイ、ド…っ!てめ…っ、んっ、なに…ィっ、のませ…っんぁっ!!」
「ですから、栄養剤ですって。

……催淫効果アリの」



「……ってっめぇぇえ!!」
「おやおや、ルーク。そんなに暴れて、元気ですねぇ」

キレて殴り掛かろうとしたルークのソレを、ジェイドはぐっと握り締めた。

「ひぁ…っ!!」
「コチラも元気になったようですし、構いませんよね?」
「あっ、あッ、んァっ、やめ…っ!」

強く圧迫しながら上下に扱かれると、ルークは背をしならせながら、殴ろうとした拳を開き、ジェイドの肩に縋るしかなくなる。

「やだ…っ、やァっ、んっ、も…でない…ッ!あっ、あ…んっ、……あ…?」

ジェイドの責める手が止まると、ルークはいつの間にか閉じていた目を開いて、訝しげにジェイドを見た。

潤んだ視線に、ニコリと笑い、ジェイドはルークの両足を大きく開かせ、肩に担ぐように持ち上げた。

「もう、良いですよね?」

表情は笑っているのに、瞳の奥で滾る欲望に見惚れていたルークは、制止の声を上げる前に、一息に最奥まで貫かれた。

ビクンッ、と背が反り返る。

「……ーーっぁ!!」
「おや…今、空イキしました?ふふ、中が、凄く締め付けてきますよ…」

ビクビク震える内腿をなぞられて、ルークは身を捩る。

「…っ、はッ、やめッ!」
「何を、言ってる、んですか…」

ギュウギュウと締め付ける腸壁に耐えるように、ジェイドは眉根を寄せ、小さく腰を前後させる。

「ぅあッ、んん…ッ、んぁっ、やッ、ぁあっ!」
「…っ、は……、そんなに、締め付け、ないでくだ、さいよ…、ルーク…」

徐々に大きな動きに変えながら、ルークの締め付けによる強い快感に、ジェイドは目を眇めながら、熱い吐息と共に囁く。

しかし、快楽に溺れているルークには届いていない。

「は…ッ、ぁんッ、あっ、やッ、あう…ッ、やだっ、やっ、イく、イく……イっちゃ…っあ!!」
「えぇ…、私も…っ」

ビクッ、とルークの身体が強張り、ガクガクと震えるが、自身からは何も溢れず、尿道口がパクパクと開閉しているだけ。

身体の奥で、ジワリと広がる熱に、ルークは「ジェイドだけ射精出来て、ズルい」と思った。






*****

「……痛ぇ」
「すみません」

明け方近くにようやく解放され、目が覚めたのが昼過ぎ。

腰や尻が痛いのはいつものことだが、今回は。

「……ちんこも痛いんだけど」
「……すみません」

無理矢理、何度も射精のない(出来ない)絶頂に登り詰めさせられた結果、自身が異常に敏感になり、些細な刺激でも痛みを感じてしまう。

「で、お前、何がしたかったんだよ。あんな、面倒くさいことしなくても、その……一緒にイけば良いだろ」

頬を赤くしながら、ルークはそんなことを言う。

これは誘われてるのか……?と内心で頭を抱えていることは、おくびにも出さず、ジェイドは淡々と答える。

「……言ったら怒られそうなので、黙秘します」
「大丈夫だ、既に怒ってるから」

ニコリと返され、ジェイドはほんの少し、視線を逸らした。

そして渋々、口を開く。

「セックスには、体力と感度の他に、何が必要なのかを検証しようと思いまして」

今回の検証で、男性は達した際に、何かしら吐き出し、終局を迎えないと苦しいのだ、と分かりました。


そう告げる声に、ルークは震えた。

――あぁ、やっぱり。

怒鳴られるだろうな、とジェイドが身構えると、ルークはキッとジェイドを睨んだ。

「それ……女にもしたのか?」
「いいえ」

否定すると、ルークは驚いたように目を見開いた。

「なんで?」
「……なんで、とは?」
「え、そーゆー実験なら、女性にもするだろ」

――確かに、とジェイドは考えた。

考えた後で、すぐに否定した。

「私が知りたいのは、ルーク、貴方に関してですから」
「……〜〜っ!!」

ルークは頭を抱えて、しばらく悶え。

後でジェイドに、セックスに必要なのは、体力と感度と愛なんだ、と教えてやろうと決意した。




愛と実験、それは両立するか。

→それ以前の問題です。





あとがき。
JLで初裏です。
初っぱなから空イキって自分…と思いました。


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