ありがとうございました
桜のとき
桜の木の下には死体が眠っている。 なんてどこかの人が言っていた。だから綺麗に咲くのだと。
「そういうことアル。お前埋まって来いヨ」
「はァ?」
「そしたらもっともっと綺麗に咲くネ。きっと真ピンクになるアル」
「そんな下品な桜なんて見たくねぇ」
「それはお前だからアルな」
「てめえが埋まればいいだろ、綺麗なピンクになるだろうよ」
「嫌アル」
桜の木のトンネル。見上げるその先は薄いピンク色に所々混じる緑色。そのコントラストがとても綺麗。満開の時期はちょっとすぎてしまったけどこれはこれで風情があると思う。
「じゃぁ、一緒に入る?」
風が吹けばそれは散り急ぐかのように舞い、繋ぐ手が絡んで体が引き寄せられる。
「…そんなのお断りネ」
「そ?誰にも邪魔されねぇでずっと一緒にいられるぜ」
「嫌アル。…酢昆布喰えなくなるダロ」
「キスも出来なくなるし、な?」
ふわっと重なる唇。
その温もりが感じられなくなるなんて嫌。
冷たくなるなんて嫌。
「ずっと、なんて言葉は無いのヨ。今こうしていられるのだけでいい」
「冷めてんなぁ、ガキのくせに」
「うっさい、ガキ。さっさと離れろヨ」
「今こうして居るのがいいんだろィ?」
【おわり】
ついでに一言ありましたらお願いします
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