「知らないならなんで、俺に話かけるんだよ」
俺は思わず言った。
「だって、あんたが俺を呼んだんでしょ?」
そいつが言った。
はぁ?なにを言ってるんだよ?
コイツは?
「俺がいつ、何処で呼んだんだよ?」
その格好と同じくおかしいやつなんじゃないの?
「わかんないの?さっき呼んだんだよ?」
厚化粧のそいつはピンクの口紅べったりの唇でにっこり笑った。
そのテカテカのピンクの唇を見て顔を引きつらせて、俺は言った。
「そんな事を言った覚えはないっ」
おねがいだから、どっかいってくれよ…。
「う〜そ。だってさっき。誰か来たのかな?とか、宇宙船(ふね)乗りたいな〜とか言ってたじゃん」
…え?
それって、言ったんじゃなくって、『思った』んだよ?
「やった〜!思い出したねぇ?」
……コイツ何者??
「空からきたクウで〜すぅ」
……え??
そいつはわ〜い。と、いうようにまた、俺に抱き付いた。
はなしてないのに俺会話してるよ??
クウと名乗った。そいつは、にこにこしながら
俺に抱きついて来た。
ってかこんな所でこんな奴に抱きつかれるのは・・・・
すげー目立つんだけど?
周りは通勤で急ぐ人ばかりだった。
「ダイジョウブ。みーんな関係ないでしょ?」
「関係ないってさ?」
これでも一応このご近所で生きていくわけだから?
こんな変人ヤローに絡まれてるの見られたら、いやだから。
「ダイジョーブ。ホラ・・・ね?」
そいつは、周りを見回した。
「・・・え?何?」
俺も一瞬きょろきょろまわりを見回した。
すると、周りに歩く通勤通学の人たちは
俺らの事なんて全く無視しているように歩いていた。
無視っていうか、見えてない見たいだった。
「ね??」
・・・・ねってさ?
これ何?
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