ぴゅう。
冷たい風が身体を撫でる。
小さく震えて空を見上げた。
綺麗な青空。だが厚い雲に包まれ、太陽が顔を隠している。
冬が近づいているのだ、と、Nは実感した。
「僕、暖かい服持ってないなあ。」
それもそのはず、彼は外に出ることがなかった。
全て城内の空調に頼っていたからか、服を殆ど持っていないのだ。
そんなことを呟くと、膝の上に座っているダルマッカが心配そうにこちらを見上げた。
まだ大丈夫、この街は熱気が溢れているからね。
と、ダルマッカに言えば安心したように手足をひっこめた。
現在、ライモンシティ。
人ごみが得意ではないNは、少し人から離れた草むらに腰を下ろしていた。
溢れんばかりの笑顔を浮かべて街を行き来する人達をぼーっと見ていたら、見慣れた服装が視界に入った。
「おっす、何やってるの?」
「リリアン。」
リリアン。Nにとって初めての人間の「トモダチ」。
かつては互いの理想をぶつけ合い闘ったが、今では世間話をしたり、一緒に買い物をしたりする仲だ。
リリアンがすとん、とNの隣に腰を下ろす。
彼女の腕に抱かれていたムンナと、先ほどまでNの膝の上にいたダルマッカがじゃれあっている。
「最近寒くなってきたね。」
そう言ったリリアンは、かなりの薄着だ。
ノースリーブにホットパンツ。
腕と脚を殆ど晒している。
こんなに肌を露出して大丈夫なのだろうか。
Nはリリアンの脚に手を伸ばし、触れた。
いきなりの感触にリリアンは少し跳ね上がった。
「こんな短いズボンで大丈夫?風邪引かない?」
するすると太股をさする。
少しでも暖めようという心遣いだろうが、リリアンはNの行動に顔を赤くして固まった。
更にNは、腕もさすり始めた。
左手で太股、右手で右腕。
Nはリリアンの左側に座っている。
リリアンはNに抱き寄せられているような形になっている。
自身の肌を滑るNの手がこそばゆくて仕方がない。
何より、恥ずかしい。
そう思ったリリアンが、Nの手を止めようとした瞬間、Nの指が内股を滑った。
「ひ、ゃ…」
思わず出てしまった声が、自分のものだとは思えない程に甘かった。
リリアンは益々顔を紅潮させた。
心配そうに覗きこんでくるNに「何でもない」とだけ返して俯く。
厭らしい女と思われただろうか。
しかし当のNは、やはり心配そうな顔をしている。
「リリアン、やっぱり寒い?」
ああ、彼が純粋で良かった。
心からそう思った。
「うん、風が冷たくて。」
「そっか…うーん…あ。」
Nは思いついたように立ち上がり、リリアンの後ろに座った。そしておもむろに、胡座をかいた自分の脚の間にリリアンを体育座りさせた。
リリアンは先程より密接したこの状況についていけていないらしく、呆然としている。
Nは暢気にに「これでさっきよりは寒くない。」などと言っている。
ああ、純粋って怖い。リリアンは思った。
そしてまたもやNは太股を撫で回す。
その手の動きにもどかしさを感じ、身体が熱くなっていくのがわかった。
もっと、もっと触って欲しい。そう思ったリリアンは、自分を掴んでいるNのもう片方の手を、自ら太股に移動させた。
「リリアン?」
「お願い、もっと触って。」
「うん。僕の手、あったかい?」
「うん、熱いくらい。」
Nの胸板に寄りかかり、その行為を享受する。
Nが指を滑らせる度に漏れそうになる声をぐっと堪える。
しかし、内股を撫でていたNの指が、ごく短いズボンの中に入ってしまい秘部を掠めた。
これには流石にリリアンの我慢が解かれた。
「や、あんっ…」
その声を聞き、びくり、と身体を揺らし顔を赤らめたその姿を見たNもまた、かつて経験したことのない感覚に陥っていた。
「ねぇ、リリアン…リリアンの身体、凄く熱い。」
「Nの手があったかくて、気持ちいいの…。」
「僕はリリアンに触ってもらっていない。なのに、僕も凄く熱いんだ。」
「それはきっと、私の身体が熱いから、移っちゃったんだよ。…んぁ」
またぴくりとリリアンの身体が跳ねる。
Nはその姿を見て、更に自分の身体が熱くなるのを感じた。
顔も、胸の中も。
本当だ、リリアンの身体が熱くなるにつれ僕も熱くなっている。
「ね、リリアン。」
リリアンの耳元でNが囁いた。
「僕も、触って。」
冷たい風をも受けても冷めない二人の熱は、止まることを知らない。
微妙にいやらしい話を書きたかった。
続きは気力があったら書きたい。