七夕の夜に

ランロイ+キーア


今日は7月7日。
天の川が見れると皆が浮き足立つ七夕だ。

しかし……

「ねぇ〜ロイド〜。お星さま見えないねぇ」

「…そうだな」

ロイドとキーアは支援課のビルの屋上から天の川を見ようと空を仰ぐ。
しかし今日は生憎の曇り。
夜空は雲によってどんよりとした暗さを見せている。


七夕を知らないキーアに織姫と彦星の話や天の川について教えるとキーアはとても興味を持ち、天の川をみたいと言ったのがほんの数時間前。
とても楽しみにしていたのに見ることができなくてキーアはとても残念そうにしている。

「今年は織姫様と彦星様天の川がでてないから会えないのかなぁ?」

「それは…「そんなことねぇぞ?キー坊」

残念そうに呟くキーアになんて返そうか悩むロイドの言葉を掻き消すように背後から聞き覚えのある声がした。

「あ!ランディおかえり〜」

おう、ただいまと駆け寄ってきたキーアの頭をくしゃくしゃと撫でながら、支援要請から帰ってきたランディがロイドの方へキーアをつれてやってくる。
キーアを挟んでロイドの反対側に立ったランディにロイドもお疲れ様と声をかける。

「ランディーなんで天の川が見えなくても織姫様と彦星様は大丈夫なの?」

「それはな、俺らからは雲でみえないけど実は雲の向こうではちゃんと天の川はかかってんだ」

「え!じゃあ織姫様と彦星様はちゃんと会えてるんだ!」

そういうこった。とキーアの頭にポンポンと軽く手を置きながらランディは言う。
そのさまがまるで親子のようで…
(なんか)
「ランディがキーアの父親みたいだな」

ふ、と二人を見ていたロイドが呟くとランディは一瞬ポカンとし、キーアは嬉しそうに「じゃあキーアのおかあさんはロイドだね!」と言った。

今度はロイドがえっと驚き、ランディが笑いを耐えながら「じゃあ今日は家族三人仲良く川の字で寝るか!」と言いながらロイドの肩を掴む。

「わーい!」とキーアが喜ぶものだからロイドは二人を見ながら「たまにはいいかもな」と笑った。

三人はもう一度空を見上げる。雲で見えなくてもきっと織姫と彦星は……

「さて、そろそろ戻るか」

ランディの言葉で三人は仲良く手を繋ぎながら部屋へ向かった。




こんな風に平和な日々がこれからもずっと続きますようにと願いながら……。

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