小説 | ナノ 猫3


行く先々で聞き込みを行った。茂みの中にもぐり込んだり、挙げ句の果てには人の家に忍び込んで庭先を探したりとかぶき町中を駆け回ったが、結局ミケは見つからなかった。
依頼を受けてから5日経った。
「そういや新八、神楽はどうした?」
「あれ、銀さん知らなかったんですか?姉上と九兵衛さんと一週間の旅行に行くって言ってたじゃないですか」

今日で6日目。最早愚痴を言う気にもならなかった。玄関を開けた時から今日も見つかる気はしなかったが、こうして朝から捜索を行っている。
「…………」
「…………」
時間の経過とともに歩く速度は低下し、だらだらと大通りを歩いていたとき、新八が口を開いた。
「はあ〜…銀さん、やっぱり捜し歩くだけじゃダメだと思うんです。ケチらないで張り紙とか作ったほうがいいんじゃないんですか?僕ちょっと戻って作ってきます。その方が効率がいいし」

年をとったミケ猫なんて目立つし、すぐに見つかるだろうと思っていた。紙なんてウチにはチラシしかねェーし。
万事屋へ続く道を戻って行く新八の背中を見ながら、銀時は溜め息をついた。本当に見つかるのだろうか。戻って来ないということは、案外あの子供の元で生活するのが嫌になったということかも知れない。もしかしたら誰かに飼われているか。
「ったく、俺も大概甘いな…」
ちょっと休憩でもしようと公園に入りベンチに腰掛ける。昼になったら自分も万事屋に戻ろうと思って空を見上げた。雨が降りそうだ。



「…………」
本当は半ば諦めていた。

ポツ、ポツ……

さて、あの諦めの悪い子供になんて言って聞かせようかと重くなる気分に比例してか、とうとう雨が降りだしてしまった。雨粒を遮る建物がこの公園に無いことに気付き、クソッと悪態をつきながら何処か雨宿りが出来そうな軒先へ足を走らせた。








今日はちょっと寝坊をしてしまった。起きたらどしゃ降りの雨の音が部屋に流れ込み、暗くどよんとした空気が漂っていた。
午後0時。
目は覚めたが少し肌寒さを感じて布団へ再び潜り込む。あの猫も布団の端っこで丸くなって眠っていた。
出会った時から、よく寝る猫だった。年、だからだろうか。
上体を起こして毛布を掛けてやろうと手を伸ばしたとき、玄関からガタンと音がした。こんな天気の中来客だろうか。住所を知ってる知り合いなどいない。郵便か?と怪しみながら玄関へ近づく。一思いにガラガラッと戸を開ければ、そこには誰も居なかった。

と言えば語弊があるかも知れない。足元に男性がうずくまっていたのだ。まさかそれがヤツでなければ、私は戸を勢いよく閉めはしなかっただろう。
「イデデデデ!!」
「ちょっ!」
あと10pで閉まるというのになかなか動かず、痛いと訴える声に目線を下げれば、間に足が挟まっていた。

「ちょっとお姉さん!?怪しいもんじゃないから!もげる!もげちゃうう!どんだけ力入れんだよ!イデデデデ!!ダメだ……もう、真っ白に燃え尽きそうなんだよお願いします神様私にトイレを貸してェェェ!!!」










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