天廻編2話_Tempest
薄煙が立ち昇る瓦礫の丘の上。その頂きに突き刺さる石柱の断片に腰を下ろし、長く息を吐き出す。同時に鼻を掠めるのは風に吹かれ去った血臭の残り香と、抉られ露出した土の匂いだ。
眼球だけで見回すと、この地を覆っていた黒煙が徐々に途切れ始めており、淡い光の筋が数本降りてきている。
足元の瓦礫の隙間から燻る白煙をたどり、行き着いた先に待っていたのは灰色の雲から覗くひどく透き通った青空だった。
やがて戦火に怯え姿を見せていなかったはずの小さな鳥がそこを横切り──、
「──フン」
ギラヒムはラネールにおける戦線の終焉を自覚した。
雲と雲の間隔が開き、大地に茫とした蒼穹を見せ始めている天上を見据えながら、鼻を鳴らして肩を竦める。そこに滲むのは皮肉の感情だ。
この地に人間が残っていたなら、大地に青空が取り戻される瞬間を戦火の幕引きと喜んだことだろう。実際、人間の中にはその光景を『福音』と形容する者もいるらしい。
だが、今あの青空を眺む人間はおらず、空が見下ろすこの地には瓦礫と残骸、亡骸ばかりが転がっている。
人と土地、その両方が息絶えた地。
『死』の匂いすら風に盗まれ、残るのは灰と血の匂いだけだった。
「────、」
これまで通りならば、終わりを迎えた戦場にギラヒムの関心は一欠片も存在しないはずだった。
騎士は剣を振るってこそ生を実感するという。そして、剣の精霊は力として使われてこそ存在に意味を持つ。
故に、戦場の終わりとは騎士と剣の役割の一時的な終わりだった。
その在り方に則り、普段ならば戦う役目を終えた後は主に付き添い、次なる命を授かるまでひたすら寡黙に傍らで控えていた。
それが今、こうして一人でいる。否、今は主から離れるべきだと思ったのだ。
命を下さず、無言で踵を返した主の後ろ姿を見て、ついていくべきではないとギラヒム自身が下した判断に基づく行動だった。
──結論から言えば、魔王の力をもってしても魔族は時の扉にたどり着くことが出来なかった。
時の神殿の最奥に張られた女神軍最後の防衛線は、魔王の唐突な乱入により呆気ないまでに容易く崩壊した。
女神が抱える手練れの騎士も、魔術を使いこなす賢者も、絶対的な力の前では誰もが虫ケラ同然であると思い知らされ──逃げ出す間もなく全滅させられた。
が、唯一の誤算が時の扉を守る最後の封印の存在だった。それは他でもない、女神自身の力によるものだった。
術者本人の命を削って施された封印は、聖地で待つ女神を殺さなければ解くことが出来ない。手を伸ばした魔王の皮膚を、その封印は絶対的な拒絶を示すように炙った。
ただ、どちらにせよ時の扉は今すぐに使用されることはない。
加え、女神陣営の要地であるラネールを落とし、持てる最高位の力を結集させた戦線を軽々と突破してみせた時点で、女神側にはこれ以上にないほどの衝撃を与えている。
封じられた時の扉を前に、魔王は女神の封印に弾かれ焼きただれた手を見遣りながら、感情の読めぬ笑みを深めるのみだった。
「────」
捕虜とされた者以外、人間が誰一人生きて戻れなかった戦場。その凄惨たる地にあまりにも似つかわしくない穏やかで暖かな風が吹く。
フィローネに次ぎ豊かな自然に恵まれたこの地も、人の手から離れればいずれは荒廃し忘れられた地に成り果てるのだろう。
風が右耳を柔らかく撫ぜ、束の間の無の時間を肌で実感する。
ギラヒムはこれが次の進軍までのごくわずかな猶予であり、主の望みのための戦いを待つ最後の時だと理解していた。
主──魔王からの命令はまだない。けれどそれはそう遠くないうちに下されるとわかりきっていた。
ラネールが陥落したことで、既に魔族の統治下にあるオルディンと合わせ女神の要地のうち二つは魔族の手に落ちていた。残るは南東に広がる生命の地、フィローネの森のみ。魔王軍が最終目的としている“聖地”も、その地を抜けた先にある。
次の戦線はいよいよ“聖地”へ踏み入るための足掛かりとなるだろう。当然、女神側もラネールの比にならない兵力を集めて魔族を迎え撃つ準備をするはずだ。
そして、それらを制圧したならば。
──我が主の悲願はついに果たされることとなる。
「────」
長い、道のりだったと言えるのだろう。主の手で戦い続けた時間の長さは自分でも曖昧だった。ここまで軍力を拡大し、女神の要地を落とし、その目的に手が届くところに至るまで短くない年月を費やした。
だがそれを労わることも、喜ぶことも、感傷に浸ることすらも自分には不必要な時間でしかなかった。
同様に、主は望む全てを手にしたとしてもその胸中を明かすことはしないのだろう。
──主の中で、世界がその手に落ちることは決定事項なのだから。
故に、あの方の剣である自身はその道筋に従っていればいい。
あの方が示す行く末だけが全てで、あの方が謳う言葉だけが道標で、あの方が与える命令だけが自身の生存理由なのだから。
最後の最後まで、それは変わらないはずなのだから。
──ギラヒムが予想していた通り、次に下された命令は聖地を囲う森、フィローネへの侵攻だった。
何の迷いもなく承知をし、控えていた下位の魔物たちへ早々に指示を出す。
役目に準じ、使命に従い、軍を成し、突き進む。
願いの果てに向けて。
主の望む、終わりに向けて。
* * *
──数か月後。フィローネの森に張られた大規模戦線。
ラネールでの壊走を経た後、女神側は早急に軍の再編成を行い魔王軍の迎撃に臨んだ。フィローネは女神軍の本拠地近くということもあり、これまでに比べ厚く、固い防衛線が張られた。
しかし急ごしらえの兵力の限界は早々に顕在化し、魔王軍の破竹の勢いを留めることは叶わなかった。
人間が用いた戦術に対し、連携も戦略もなく力のみを振りかざす魔王軍。練られた知略が魔物の猛勢を凌駕することはなく、女神の兵隊は丸ごと呑み込まれていく。
魔王はラネールの戦線と同様姿を見せることはなく、戦場は本能のままに土地と人間を食い荒らす魔物の大群と、最前線にて冴え渡る剣舞を見せる魔剣の精霊の独壇場となっていた。
「くそッ! ここまでか……ッ!」
「女神様、ばんざ──、」
末期に紡ぐ祝詞は閃音に引き裂かれ余韻すら残さず戦場から消し飛ぶ。
言葉を紡ぐ間どころか祈りを捧げる間すらも与えず、黒閃が舞い遊び、兵士が死を覚悟する前にはその首と体が離れていた。
彼らが最期に抱く感情は苦しみではなく、迸った太刀筋の美しさに対する羨望、もしくは驚嘆だった。一度の瞬きの間に数百の命を奪い去る剣撃は、事実だけを客観視するならば無慈悲で残酷な凶刃でしかない。
それでも、実際に戦場に立ちその様を目の当たりにした者は、洗練され研ぎ澄まされた剣が描く軌跡にただただ見惚れるのみだった。
無数の斬撃を閃かせ、体勢を立て直すために刀身が一度引かれる。魔剣の持ち主──ギラヒムがその刀身を一振りすれば、刃についた返り血は全て払われ、陰りを見せぬ輝きを取り戻す。
「今だ!! 放て!!」
「…………、」
一息をつかせる間もなく怒号にも似た号令が彼方で叫ばれ、黒雲が覆う空へおびただしい量の矢と魔力の光が放たれた。
それは一つの生き物のように束となり、しなやかな弧を描いて一直線に降り注がれる。
──が、彼はその刃の豪雨を仰ぎ見ない。
愉悦に浸った流し目だけを刹那寄越し、その場から一歩も動くことなく何も持たない片手を持ち上げる。
一呼吸を置き、その身を射抜く刃の雨が降り注ぎ──、
「……観賞にすら、値しないね?」
「あ……、」
全身を針山にされる前に、彼の身は投射兵の背後に移動していた。兵士が振り向きその姿を認識する間もなく、召喚された短刀が頭部を狙い撃つ。
一撃で絶命した兵士が地面に倒れ伏す様を見届けず、魔剣は再び戦場へと駆け出し、行く手に群がる人間と亜人へ凶悪な笑みをこぼす。
「せめて、舞を楽しむくらいの足掻きは見せて欲しいものだね?」
「──ッ!!」
挑発に逆らい喊声を上げる騎士と鍔迫り合い、受け流し、間隙を縫って剣先を跳ね上げる。仲間の血の霧を掻き分け突撃してきた次なる兵を目で捉え、無駄のない足捌きで迎え撃ち、身を翻すと同時に黒刃を閃かせる。
矢で穿とうとするなら倍の数の短刀で相殺し、
魔力で貫こうとするならそれ以上に卓越した魔術で打ち払い、
剣で断ち切ろうとするなら、乱れのない剣筋で絡めとる。
圧倒的な力の差を見せつけ、絶望と憧憬の眼差しを全身に浴び──それでもどこか満たされない感情を持て余したまま、魔剣は戦場を廻る。
凄絶な乱戦はそう長く続かなかった。
数時間が経てば嵐のような攻勢は急速に衰え、響く苦鳴も徐々に失われていく。
そうして屍の数が生者の数を大きく上回り、戦場が幾分か静かになった頃。ギラヒムは森の外れに立つ女神軍の砦を目指し歩いていた。
見上げると視線の先に建つ巨大な砦は既に半壊しており、陽炎に包まれた遠景にゆらゆらと揺らめいて見えた。
中にいた人間は逃げた後か、殺された後か。どちらにせよ、あの砦が本来の役目を全うすることは二度とないだろう。
そこまでに明白な惨状を目にしながらその砦に向けて足を進めていたのは、未だ敵将らしき人物の姿を見つけていないためだった。
形式的であれ、そいつの首を取ることがこの戦線の終着点を意味する。とっくに道で寝転がる亡骸のうち一つになっている可能性も高かったが、一巡はしておくべきだと判断した。そして、
「……?」
──ギラヒムがその騎士を前にしたのは、砦に至る道の半ばだった。
ひどく、空虚な目をした騎士だった。
仲間の亡骸を背に群青色の目線を宙に浮かばせ、焼け落ちていく地をただただ見つめていた。
短く刈り揃えられた金の髪は血で濡れており、致命傷には至っていないものの全身を負傷していると傍目にも見て取れる。
よくよく見れば、その胸で鈍い輝きを放つ徽章は他の兵に比べ数が多く、豪勢な装飾で縁取られている。それを目にし、ギラヒムはこの騎士が今まさに探していた敵将なのだと察した。
騎士は魂の居場所を失ったように呆然と佇んでいたが、小さく魔剣の柄を鳴らせばぴくりと白い指先を震わせた。
おそらく自身の存在には気づいているのだろう。しかしそれきりじっとしたまま男は剣すら抜こうとしない。
……殺されるとわかっていて、士気も、抵抗する気力すらも失ったのか。そう思い至り、ギラヒムは内心で嘆息する。
死を臆することがなくなった人間ほどつまらないものはない。剣を交わす悦びもなければ、今際に見せる感情の機微すら乏しいものとなるからだ。
故に、ギラヒムは早々にこの騎士を切り捨て主の元へ戻ることを決めた。
唇を結んだまま男の背に近づき、魔剣を掲げようとした──その時だった。
「──この戦場も、終わった」
やけにはっきりとした声音が、その口から落とされた。
騎士は視線を寄越すこともなくひたすらに天を仰いでいる。ギラヒムは数瞬、本当にその男から言葉が発せられたのかを疑ったが、場違いなほどに朗々とした声音は構わず続けられた。
「人間は、魔に敵わなかった。女神を讃える生命の地も焼け落ち、灰となる」
騎士は震えのない声色で起こった事実を淡々と述べる。同志の死を、自身が立たされている絶望を嘆くこともない。
声どころか、一直線に空を見上げる横顔には悲壮感すら浮かんでいなかった。
「剣は折られた。幼き頃から剣の道に生きても、女神に身命を捧げてもだ」
語られる、紡がれる、無感情な現実。
女神側の人間が語る言葉も、ましてやこの男の半生などにも一切興味はないのに、何故かそれを遮ることが出来ない。
「魔族は聖地へ至るだろう。そこで女神と対峙し、“あれ”をかけて戦うこととなるはずだ。──だが、そうであったとしても、」
ついに、ギラヒムはその騎士と視線を交えた。
光を失った群青色の目は深い深い奈落のように底が見えず、生気が感じられず、ひたすらに冷たいもので。
しかしその声音は、煮え滾る激情の熱が宿っていて、
「──貴様ら魔族は、必ず『勇者』が討ち取る。それが、『運命』だ」
「…………へぇ」
騎士が結んだ結論に、ギラヒムはようやく嘲りの笑みを浮かべた。
何かと思えば、戦禍に狂ってしまった人間の死に行く直前の演説だったらしい。
語られた声音がやけに明瞭としていたため異様な空気を感じていたが、所詮は妄言に過ぎなかった。
それに──『運命』なんて、我が主の御前では何の意味も成さない。
こいつが言っていることは単なる戯言でしかないのだ。『勇者』とやらが本当に現れたとしても、今までの人間たちと同じように手も足も出ず蹂躙されるだけだ。
騎士の言葉を一笑に付し、ギラヒムは無駄に費やした時間を終わらせることを決める。
そのまま片手の魔剣を握り直し、無防備な首を一振りで分かとうとした──瞬間。
男の喉が、震えた。
「──お前、剣の精霊だな?」
「────、」
確信をもって向けられた問いに、刹那呼吸が止まる。
静止する剣先を一瞥し、男は口の端を歪に曲げ双眸を細めた。
「聞いたことがある。王や神──上位の存在が持つ剣に宿る、精霊。主にのみ存在理由を帰依させて、自らを殺し使命に生きる絶対的な従者。“その為だけに、作られた”存在」
謳われたのは、他人の肉声をもって聞かされるのは初めてである、自分という存在の謂れだった。
どこで聞き及んだのか、男が口にした事実は自身の知るそれと違う点は一つも見当たらない。
「……女神も、その力を手に入れようとしている。否、既に手にしているかもしれない。やがてつくられた剣は、いつかの時代に『勇者』が手にすることとなるだろう」
そこでようやく気がついた。
男は、笑っていた。
その言説に静かな動揺を見せる魔剣に対し、そいつは勝ち誇っているわけでも、嘲笑を向けているわけでもない。
ただ、笑っていた。
笑って──哀れんでいた。
「女神に与えられた試練を乗り越えし若人──『勇者』に、貴様らは必ず討ち取られる」
そう、繰り返す男の言葉を笑い飛ばすことはもう出来なかった。
ギラヒムはその笑みと結論に対し、音のない呼吸を数度繰り返す。次いで温度のない視線を男へ向け、静かに唇を解いた。
「……死に際に立った人間の妄言ほど、愚かしいものはないね。この光景を目の当たりにしてそんな妄想にふけることが出来る君たち人間が羨ましい限りだよ」
鼻を鳴らして皮肉を嘯けば刹那の戸惑いは霧散し、この男がいかに根拠のない言葉を連ねているのか再認識出来る。
炎に包まれた地を見て、無抵抗に殺された兵士たちを見て、そんな『運命』の根拠などどこに転がっているというのだ。
「お前たち人間がどう夢を見ようと、足掻こうと、あの方が聖地を落とし世界を手にする未来に変わりはない」
剣呑な視線を突き返し、言い切る。だが、男の笑みが崩れることはない。
むしろその笑みはさらに深いものとなり、暗い眼眸は瞬き一つせず魔剣の精霊を見据え、唇を引き歪めた。
「……ならば聞こう、精霊」
そう前置き、男が体ごと向き直る。
聞く必要も理由もない。そのはずなのに、制止のための刃も、声すらも出すことが出来なくて。
騎士は、一つの問いを口にする。
「貴様らの主が使命を果たした後──貴様ら剣の精霊は、どうなる?」
「────」
驚愕は、表さなかったはずだった。
悪寒のような、殺意のような、体の内側を貫いた感情が喉奥にまで迫り上がる。しかしそれは放される寸前、わずかに瞼を震わせるのみに留まった。
そのはずなのに、表に出なかったその感情までも見透かしたように男は言葉を継ぐ。
「誰かのために剣を握る人間も、誰かのための剣であり続けるお前たちも。あまりに脆く、弱く、壊れやすい」
そこで、理解する。あの笑みが表していたのは嘲りでも憎悪でもなく──同情だったのだと。
誰かのために剣を振るい続けた存在が、誰かのために戦場を駆けていた存在が、誰かの助けになるために生き続けた存在が。
たどり着いた行く末が、この有様だったのだから。
「そうまでして行き着く果てに、意味などあるのか──?」
──次の瞬間。
黒刃が走り、男の首が跳ね飛んでいた。
その口元は歪められたまま、冷えた双眸は閉じられることのないまま、騎士としての生を呆気なく終えた。
「……ワタシの行く末を決めるのは、あの方だけだ」
絞り出た声音は、まるで男ではなく自身に言い聞かせるようで。
剣は反論よりも先に男の口を沈黙させたため、対する答えは誰の耳にも届かない。
だからなのか、男の問いかけは炎が燃え弾ける音よりも鮮明に、耳奥でいつまでも尾を引いていて。
いつまでも、いつまでも、問われ続けていた。
* * *
その場所にたどり着いた時、空は大地を包む炎が燃え移ったように真っ赤な夕暮れに染まっていた。
焼け野原へと成り果てた森を一望出来る高台。そこには予想通りの後ろ姿が厳粛な静寂を保ったまま眼下の景色を見渡していた。
「────、」
敬称を投げかけようとして、ギラヒムはあることに気づく。
その目に映るのは焼け落ちた森の景色ではない。いくつかの山を越え、深緑の地を抜けた先に覗く場所、すなわち“聖地”。
その姿が立ち尽くし、その場所を見据えるだけで周囲の空気は張り詰め、呼吸を制する鋭気に気圧される。
やがて意識の全てを縫い付けられた従者の視線を受けながら、主──魔王は宣告した。
「終焉の時は来た」
その言葉は、背後の従者に向けられているものではない。
支配を望む双眸が、野望に燃える魂が。真正面から対峙する、神に向けた宣告だった。
従者はただ、その宣告に宿る覇気に圧倒され、存在の奥底を震わせる熱に酔いしれるだけ。──そして、
「──ハイリアの地を、落とす」
主が告げた終わりの始まりに、自身の存在が信念をもって形作られる感覚を抱いて。
片手を胸に、瞑目し、万感の想いを込めて頭を下げる。
「イエス、マイマスター」
全てを尽くす主へ捧ぐ、敬称を謳って。
その存在が望む果てに導くことを、魔剣の精霊は誓った。