( リクヤとアキト )
冷たい頬に触れた手の温かさにそっと目を伏せる。
白い頬に触れる手は浅黒く白い頬の冷たさを際立たせた。
心地のいいそれにリクヤが頬を擦り寄せると目の前に腰をかける手の持ち主であるアキトは目を細めて微笑みながらくすりと笑う。
「お一人で過ごされる寮の室内は寒いですか?」
アキトが小首を傾げるて尋ねるとリクヤはえぇ、と返事を返した。
「とても寒いです。二人部屋は寒くないのですか?」
「あまり、寒さは感じませんよ。普段はシンとふざけあったりしていますから」
今、シンはコウタの部屋に行って仕舞っていますがとアキトは付け足す。
リクヤは成る程、山名くんとふざけあうのですかと呟き頷いた。
「羨ましいです」
「え?」
「山名くんが羨ましいです」
リクヤの言葉の意味がすぐにはわからず一瞬きょとんとするも一拍おいてちゃんと理解したのかアキトは頬を赤らめる。
リクヤはそんなアキトの様子に目を細めて微笑みながらくすりと笑いうとアキトの耳元に唇を近づける。
「たまには私の部屋にきてくださいね」
囁くと白く冷たい頬をアキトの赤く染まる温かな浅黒いそれに擦り寄らせた。
( あぁ、温かい )