■ プロローグ

『地味で目立たない』

 それが同期の間で認識されている僕――ベルトルト・フーバーという存在だ。それでいい。そうなるように努めてきた。

 それなのに――目の前にいる女の子はきらきらとした大きな瞳でまっすぐに僕を見つめてくる。

 いつだって、ずっと。初めて出会ったあの日から、変わらないまなざしで。

 そして一生懸命、必死になって、僕に伝えるのだ。

 愛の言葉を。


(2013/10/09)
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