結婚しよ
『結婚したい調査兵団女子ランキング結果発表!!』
1位 クリスタ・レンズ 157票
2位 ぺトラ・ラル 41票
3位 ミカサ・アッカーマン 20票
ぴらりと目の前に落ちてきた紙を拾い上げて見れば、そんなことが書かれてあった。
恐らく男兵士の間で交わされたアンケートなのだろうが、女の私から見ても納得の結果である。安定の女神に特別作戦班の精鋭、百年に一人の逸材の美人がトップスリーに決まっている。
しかし驚いたことに、選外に私の名前があった。
9位 リーベ・ファルケ 5票
おお、まさかのトップ10入り。これは、ものすごく、嬉しい。
兵士として生きてきて、これからもそのつもりだけれど、やはり私もまだ女であるようだ。
「ってことがあったんですよー。兵長は知ってました? もしかして参加しました? 誰に投票したんです?」
嬉々として紙を見せれば、それを眺めた兵長がわずかに目を眇めた。
「恐らく中心となって行ったのは104期のガキ共だろうな。そんな下らねえことをしている暇があるなら仕事と鍛錬の時間でも増やしてやるか」
「なーんだ、兵長はやってないのか。誰に入れたのか知りたかったのになあ」
落胆して見せれば、兵長がこちらへ顔を向けた。
「それを知ってどうする」
「協力しますよ、結婚できるように。人類最強の子供なんて、みんな喜びますから。新しい希望だって」
「…………」
「あ、お茶淹れてきますね。これ見せたくてすっかり忘れてました」
「ああ」
ぱたんと扉が閉められて、遠ざかる足音。
兵長は置かれたままの紙へと再び視線を落とす。
「5票、か。俺以外に投票した4人が誰かを後でエレンにでも問い詰める必要があるな」
まずはそこからか、と表情を変えることなく呟く姿があったことを私は知らない。