自由倉庫 Freiheit ::彼は彼女を愛し続ける(翼のサクリファイス原作沿いその後) ※夢主はデフォ名です。 深夜。明日提出の書類を片手に通路を歩いていたら、ある部屋から光が漏れていた。思わず扉を開けると、部屋の主が一人で腰掛けていた。 「さっさと兵舎帰れば? 仕事は山ほどあるけど急ぎではないし、お嫁さんが待ってるだろ」 「ノックしろ、ハンジ」 舌打ちと共に私を睨んで、リヴァイはため息をつく。 「最近、リーベと距離を置くべきか迷ってる」 「はあ!?」 考えていた案件が何もかも頭から吹っ飛んだ。 「え、何、倦怠期!? 何かあった!? どうした!?」 焦っていると、リヴァイは真顔で一言。 「あいつ……どんどん、俺好みになってきた」 「…………」 何だ、惚気か。心配して損した。 どんなところがリヴァイ好みなのかは個人嗜好だし聞かないでおこう。興味はあるけども。 「うーん、いいことじゃない? どんどん自分好みになるってことはつまり教育の賜物? ってことにもなるわけだし?」 リーベが紅茶を美味しく淹れられるようになったのはリヴァイの指導あってのものだったらしいし、リヴァイがリーベを慈しんだ分だけその魅力は増していくわけで。 「いいことなのか、これは」 「リヴァイは嬉しくないの?」 黙り込んだ。 変わらない表情の奥からどうにか読み取るに、どうやら嬉しくて嬉しくて、だから戸惑って困っているらしい。 「何が駄目なのかわからないんだけど」 「……これ以上惚れたら、リーベの重荷になる」 なるほど。 つまりただでさえ好きなのに、好みになってもっと好きになって、それがどんどん積もり重なっていくことに躊躇しているらしい。 馬鹿だな。 「そう思ってる段階で手遅れだから、もう開き直って大好きになればいいだろ。さっさと帰れば?」 私は部屋を出て、扉を閉めた。自室へ向かう。 「もうすぐリーベの再入団試験か……」 戦力としては、調査兵団に是非とも欲しい。 立場としては、安全な場所で守られていて欲しい。 でも、わかっているんだ。 彼女を守るのは、彼女自身だと。 だから、どこにいても同じだろう。 居場所は、彼女自身が決めるべきだ。 そう判断した。少なくとも私は。 「リーベに子供でも出来たら、また話は全く違うものになるけれどさ」 誰も聞く人間がいないのにそんなことを呟いて、私はそろそろ眠ることにした。 ----- 最近兵長要素が少ないのでべた惚れ兵長を書きたかった。 back ×
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