自由倉庫 Freiheit ::綺麗になった(翼のサクリファイス原作沿いその後) 久しぶりにエレンたちと顔を合わせて驚いた。みんな背が伸びて、精悍になって、男の子は髭を伸ばしていたり見違えるようだった。 それに比べて―― 「私、全然変わってない……」 日々を生き抜くことしか出来ていない。成長を感じられない。私なりに毎日色々やっているはずなのに記憶が曖昧だった。 落ち込みながらため息をついていると、 「そんなことねえだろ」 声が降って来た。聞きなれた声に顔を上げると、もちろん兵長だった。 「そうですか? そりゃあ歳は平等に重ねますけれど……」 じっと兵長を観察する。 昔から変わらない顔つきと、その瞳の鋭さと。 「兵長は変わりませんね」 「俺も歳は取る」 まだまっすぐに見つめられて、見つめ返していると、ぼそりと呟く声がした。 「……お前も、変わった」 どこが変わったんだろう。自覚がない。 そこでやっと一つ思いついた。 「そういえば、髪が伸びましたね。ここまで伸ばしたのは十二歳の時以来です。訓練兵になるタイミングで切ったので」 「髪以外も、変わった」 首を傾げていると、するりと頬を撫でられる。指先で、優しく。 そして兵長が言った。 ----- 絶望も憂いも悲しみもない、ただただ穏やかに時を重ねる二人のその後が書きたい。 でも無理。 なぜなら世界は残酷だから。 back ×
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