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自由闊達


さらば愛しき残酷な世界-進撃最終話感想-

◆終わったあああああああ……ハッピーエンドでもなければバッドエンドでもない、進撃の巨人エンドでした……わからないことはあるけども、それはこれから考えるとして、八年間ずっとずっと心の奥底にあった苦しみと悲しみ、不安から解放されたことは間違いない……私は自由だ……。

◆始祖ユミルは愛を知りたいのだろうと思ってたけど、知りたかったのは愛の行方で、解放というか納得したかったんだな。彼女にある愛は呪いのように苦しいもので、もうどうすることもできなかったから。
2000年もあればミカサ以外にも答えを示した人とかいたと思うけど、始祖ユミルセンサーに引っかからなかったりエレンみたいに『同化』しないと我が身で感じられないし納得もできないから2000年もかかったのかな……。
正直ふわっとしてるのでまた考えます……。

◆愛って言葉一つでとても広い意味ですよね……始祖ユミルが王を愛していたという事実に「何で……?」と思ってしまったのですが、愛に理由なんていらないんですよね。

◆そして愛を愛のまま断ち切ったとはいえ、ミカサ、自由になれてないような……愛って自由とは反対の意味も含んでいるような気もしてきた……泣いてるやん……マフラーほどけてるやん……マフラーが風に舞い上がって外れた時に彼女の心は解き放たれて自由になるのかなあと思ったら鳥ー!!!!!何度だってー!巻いてやるー!ってことなのかー!

◆エレンに関しては50話の「何度でも巻いてやる」とか123話の「俺はお前の何だ?」とかでミカサのことは好きだけど無意識レベルな気持ちだと思ってたら「一生俺だけを想ってて欲しい!」とかさあ!そういうの!もっと出してよ!普段から!
しかしエレンにとってはミカサより「自由への希求」の魅力の方が大きかったんだろうな。別に愛を最優先にしろとは言わないけど、ミカサ泣かせまくった辺り私がミカサの父親なら「娘はやらん」状態ですね。

◆ジャンは作中でミカサへ告白しなかったのですが、三年後に髪を整えてる姿を見るとそのうちミカサへプロポーズすると思う。エレン好きなままで構わないから、俺にお前を幸せにさせてくれ、みたいな。
ミカサが幸せになれるなら、そのプロポーズを受け入れても良いし受け入れなくても良いと私は思う。

◆エレンとアルミンが炎の水や氷の大地を幻でも一緒に見てくれたこと、手を繋いでくれたこと……私はずっとこのシーンが見たかった……。
そして3巻を思い出すアルミンの行動……1〜3巻まで読んだ時のアルミンの成長と変化に「この作品を最後まで読もう」と心に決めたので、立体機動装置を外しながら前へ出たシーンは胸がいっぱいでした……。

◆道があろうと『死人の口なし』を一貫してるなあ……エレンでさえ死んだ後は話さない。最終話は回想というか記憶だし。
巨人はいなくなった世界だし、道もなくなったなら、みんなもういないんだなあ……。

◆ダイナがベルトルトスルーしたイレギュラー案件、グリシャの痕跡を求めたからかな(これもイレギュラーだけど王家の血を引いてるから他の巨人とは一線を画してる気が勝手にしてた)と思ってたのですが、まじか。とりあえず一巻からそのうち読み直さねば……。

◆最終話でヒストリアの妊娠の必要性がなくなったような……138話のエレンの死をヒストリアの出産が何らかの形で昇華すると思ってたんですよ個人的に……130話での「じゃあ私が子供を産むのは?」ってそういうことかなって……。
ジークからの継承を遅らせるためなら別に偽装妊娠でも良かったような……この作品なら医者に協力者を作れただろうし……。
エレンの虐殺を止められなければ胸を張って生きられなくなると言ってたけども、結局それを受け入れて子供を穏やかな表情で抱いている辺りヒストリア関係の情報不足がすごいので単行本化の時に加筆されるかなあ……難しいかなあ……。

◆ヒストリアの子供の父親という元石投げ少年ですが、ヒストリアにとって始祖ユミルが王へ向けた愛(広い意味で使ってます)と同じなのかな……。
あと身を焦す想いだけが愛じゃない。ただ一緒に生きていこうと決めた感情もまた愛だということなのだろうか。
でも読者的にはもっと情報がー!欲しいー!読者の想像に委ねますってことなんだろうけれども委ねすぎな気もしますー!

◆イェーガー派が三兵団統一した紋章が物騒だな……とか思ってたらリコさん……!生きてらっしゃった……!ワイン飲んじゃったかな……と自分の中で諦めて折り合い付けてましたが元気そうで良かった……。
そしてヒッチは彼女らしさを失わないままあの場所にいるのがちょっと安心する。この調子なら近々アニと再会するんだろうなと思うと、ちょっと切なかった彼女たちの別れが慰められます。

◆そういえばイェレナどうなったっけ……キヨミ様の近くいなかったけど……彼女はいつの間にか熱出してたり終盤の存在感が切なかったな……
それ故の最終話未登場なのだろうか……。

◆兵長……兵長……!
10巻発売頃は「兵長、16巻くらいで退場しそう……」(当時は20巻前後で完結とアナウンスされていました)とか思ってたから、びっくりした。生き残ったよ、兵長。
完結前は「生き残ってくれたら嬉しいけど、生き残っても兵長は寂しいだろうな……」とか思ってたから完結後、びっっっくりした。元気に旅してるよ、兵長。
しかもファルコにガビ、オニャさんもいる。一人じゃない。寂しくない。
この人はいつだって、どこでだって、世界を、人間関係を構築できるんだ……。
兵長に関してはこれ以上ない結末なので、なんかもう夢小説を書く理由がなくなったな……だってこれ以上のハッピーエンド(兵長の未来という点で)あります?ないよ。
兵長死亡パターンも生存パターンも考えてたけど、この結末を前にしたら……。
だから本当に嬉しい。優しい人だから、ちゃんと幸せにこれから生きてくれることがわかる。
こんなにほっとすることになるなんて……本当に良かった……。

◆八割が踏みならされたので、残された土地を巡って大変なことになるのかなと思いましたが、三年後のアルミン達は普通に元気そうだし立派なスーツ姿だし、残り二割の人類でも割と何とかなったみたいですね。まあそうでなければ完結できないので当然か。
なので、進撃展で原作者が語っていた『読者を傷つけたい』の意味がやっとわかった気がしてきた。
135話以降の『天と地の戦い』では主要キャラクターは誰も死んでない。しかも巨人化に伴う13年の寿命タイムリミットの呪いは解けた。コニーのお母さんも無事人間に戻れたし、ジャンの家族もヒストリアが保護してる。アニはお父さんに「ただいま」が言えた。カリナおばさんも復讐の念から解き放たれた。良かった良かった。
でも、人類の八割が滅ぼされた。
でも、三年後の皆は健やかに笑っている。
主要人物へ焦点を当てればハッピーエンド。
世界へ焦点を当てればバッドエンド。
未来へ焦点を当てれば進撃エンド。そう、彼らの戦いはこれから。
だけど、たとえ人間の争いが絶えなくても、巨人がいない以上、ここで物語は幕引きになる。
あまりにも大きな犠牲も時の流れによって巨人の存在は忘却の彼方へ、その在り方と出来事はいつか神話によってのみ証明されるようになるのでしょう。

「みんな知りたくなるはずだ」と話すアルミンですが「知りたくねーよ!」な人たちと向き合うところから、新しい物語が始まると思います!

総括して一言。

豊かな八年間をありがとうございました!

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23rd.Apr.2021


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