「なんや…なんで攻撃とまんねん!」
「…ゆら、俺らは既に敵の手の内って事みたいだな」
「嫌だなぁ竜ちゃん敵だなんて」

先程からゆらと竜二は一瞬の隙もなく怒濤の攻撃を下している
にも関わらず敵、基哉斗には一切当たらない
攻撃発動の直前に動きが鈍くなるのだ

「うちのゆらと竜二は強いやろ?」
「お前のじゃないよね?むしろ竜ちゃんに関しては確実に俺のだよね」

だんだんと時間がたつに連れてゆらと竜二の体力は限界に近づいている
が、対し哉斗は涼しい顔

「哉斗兄めっちゃ強いやん…ごめん13代目ちょっともたんわ」
「ええよ…ようがんばったなっ」

ゆらの合図と共に13代目の姿が霧となりきえる

「竜ちゃんもそろそろヤバい?」
「まさかっ俺が何もしてなかったわけないだろ?」
「えっ兄ちゃん!何か策あるん?」
「へぇ楽しみっ」

それぞれが構え直し次の動きをまつ
冷たい沈黙に両者は気を抜けない

先に動いたのは竜二だった

「なぁ哉斗今までお前が何していたかさっきやっと分かってな」
「へぇ」
「お前、気にしてたのか?」
「?なんや?何をや?」
「気にしてたと思うの?竜ちゃんは」
「質問に質問で返すなよ。答えろ」

その問に一瞬哉斗の周りの空気が揺らぐ

刹那の隙

「捉えろ言言っ」

竜二は間髪入れずにソノ時を見逃さなかった
「っ」

水につかまえられていたのは、綺麗に中を舞う黒蝶

「お前の力を…分身を捉えたぞ。勝負はついたな」
「…甘いよ竜ちゃん。本当に捉えたのかい?」

たった今まで黒蝶だったそれは既に水の中にはいない

「ずれただと?」
「へ?何や?またうちだけおいてけぼりやないか!」

だが直ぐ側には姿はある
つまり捉えようとすればひらりとかわされぬらりくらりと逃げてしまう

「竜ちゃんの言った通りこの黒蝶は俺の分身だよ。だからこそっ思い通りに動くんだ」
「…」
「なぁ哉斗兄!はぐらかさんと真面目に教えてぇや!」

辺りは真っ暗になっていた
宴会の準備は終わっているだろう

「そうだね。ゆらちゃんには教えといてもいいかもね」
「哉斗、俺の質問にも答えてないぞ」
「分かってるよ。ちゃんと全部答えるから」

哉斗が出した鬼火を便りに暗い道を進む
そんななか、哉斗の声は良く響いた



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