どうしてこうなったのだろうか…


ピーッピーッ

白い無機質な部屋に響く機械音
幾つもの張り巡らされたチューブからゆっくりと堕ちる液体

泣きつかれたのか、母は静かにゆらに寄り添って寝ていた
そして俺は少し離れた場所にはいた

何故だ?
どうして寝ている?
母さんが泣いているのに、何故何も言わない…目をあけない…

どこか心で分かっていてもそう問いかけずにはいられない

「竜二…来たよ」

すると後ろのドアが音をたつ開くと同時に人が入ってきた

「魔魅流…」

ベッドに横になる姿を確認して直ぐに顔をしかめた
普段は人形のような表情が今だけは悲痛に歪め両の目からは涙を落としていた。

お前が泣くなんてな…

口にはしなかったが竜二は心の中で呟いた

どこか他人事のような感覚でイマイチ実感が湧かないのだ
今にも目を開き話し出しそうで…

現実から目を背けていた


あの時何があった?
京妖怪の残党を滅しゆらとともに去ろうとして…

ああそうだ。死にきれなかった妖怪が俺らもろとも自爆しようとしたんだ

爆発から俺はゆらを守りきれなかった
腕やら足やらあまつさえ顔にまで傷が残っている
ごめんな。こんなお兄ちゃんで…

もう面会時間も終わる
医者が言うには今日が峠らしい
今夜中に目が覚めなければ助かる見込みはない

死ぬんだ

だが、そんなの待たなくたって俺には理解できた

確実に目覚めはないと…
だってそれは…

俺が確信をもつと同時
唯一口を開けていた機械がコワレタ

ピー―――――――――と鳴り続けた

ソレをきき母さんはまた泣いている
魔魅流もだ、だが俺はまた涙を流せないでいた

「兄ちゃん…ごめんな。大好きやったでありがとう」

ゆらの小さな小さな声
多分俺以外には聞こえないほどの震える声を聞いてやっと涙が落ちた

「あぁ…さようなら」



声にはならなかったがしっかりと届いただろうか?






我が生涯最高の時成り

End

あとがき〜
皆様お気づきのとおり、死んだのは竜二さんです。
突破的に浮かんだネタですが…
ここまで読んでいただきありがとうございました!
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