「さて、全員揃ったようだ。では始めるとしよう」

広いこの座敷ではあたらがより、いっそう静かなためか声がよく響いた

「まず紹介する。知ってる者もおろうが、先修行より戻った花開院家最高の才ある者…花開院哉斗だ」

27代目の隣に座る哉斗彼に緊張はない。むしろリラックスしていて…

「よろしくね」

と軽口をたたくほど
周りのざわつきなど気にもしない

「こやつは確か…」
「ああ、あの女の、子ですよ」
「あの女?」

聞こえないと思い言ってるのだろうが、ここは周囲が静かなのだ

「哉斗の事を知っている者もおるとおもうがそれは既に過去の事。他言せぬように」

27代目のキツイ言葉でも多少の反発はある

「せやかて、今更何で帰ってきたんや!花開院当主はゆらやったんに…これやぁ」

新しく入門した一人の言葉

「っな!う、うちは別にそんなんどーでもええねん!花開院は才ある者を頭とするんや、哉斗兄ぃでええやん!一番すごいんやろ??!」

ゆらの台詞に哉斗は笑いながら答える

「ああ、そこは大丈夫だよ。俺は花開院は継がない。っというより継げないんだ。ね27代目」
「その、話はおいおいするとしよう」

そしてこの場はお開きとなった
夕方の宴会まではいったん皆、席を外す

部屋に残っているのは27代目と竜二、哉斗、13代目そしてゆらだ

「27代目。俺は当主にはなるつもりはないからな」
「…考えてはくれぬのか?」
「哉斗兄ぃ、うちに遠慮とかせんでええよ?」
「自信家だなぁゆらちゃん。遠慮とかじゃないよ…俺はなってはいけないんだ。」
「何でや!哉斗兄ぃめっちゃ強いんやろ?」
「ゆら、止めろ。27代目も、諦めて下さい」

若干言い合いになりかけている三人を止めに入ったのは竜二だ

「わかってはおるんじゃがな…。すまなかったな哉斗もゆらも」
「別に、じゃっ失礼します。ゆらちゃん竜二修行見てあげるよ」

27代目に対する冷たい態度とは違いゆらたちには相変わらずの笑顔

「なぁ哉斗何で僕のことは呼んでくれへんのや?」

情けない13代目に哉斗は怖い笑みを向ける

「何で、俺が野郎なんぞの名前よばなきゃいけないの?それに死人に陰陽術教えてどうするのさ?」
「竜二だって男やんか」
「竜ちゃんは特別!」
「え〜哉斗のイケズぅ〜」

13代目の可愛くないいじけかたに哉斗は鼻で笑う

「何?俺が男に対して愛想いいのは最初だけだって知らなかった?」
「なぁなぁ哉斗兄ぃ?何で竜二兄ちゃんだけ特別なん?」
「聞くなゆら。お仕置きすんぞ」

修行ができる広い空き地までの道のり
ゆらの片手はしっかり哉斗が握っていた
竜二に対しても手を伸ばした哉斗だが、思いっきり振りほどかれてしまった

「じゃぁ俺はそんな竜ちゃんをお仕置きしようっと」
「じゃっ僕は哉斗を」
「気持ち悪い真似してみろ。即刻滅する…ていうか一生破軍としとも出てこれなくしてやるからな」

13代目のセリフは哉斗によって強制終了されてしまった

すると何処からかまたひらひらと舞う黒い蝶の姿が現れた

漂う妖気

「哉斗兄ぃ…この蝶って」
「流石ゆらちゃんよく気づいたね。こいつは、妖怪なの…かな?」

自分でもわからないやと哉斗は笑ってみせた

「なるほどな…哉斗よく考えたな」
「あら竜ちゃんわかっちゃった?」
「僕もわかったでぇ〜」
「まっその話はまた今度してあげるから今は二人の力みせてよ」

廻りを木に囲まれた広い空間ですでに修行はじまっていた

それに感づいていたのは先程哉斗に無視をされた13代目だけだった



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