あなたと在る世界





混乱していたといえばそれまでだ。
冬休みも直前の、いつもと変わらないある日。常に付きまとった非日常とはもう今年中には出会うことはないだろうと高をくくっていた結果がこれ。いるはずの同級生がおらず、いなくなったはずの同級生が平然と居座る教室。性格から何から変わってしまった仲間。俺の記憶と食い違う生活。
混乱するに決まってる。俺が今呼吸している世界は、俺の知ってる世界じゃない。不可思議で愉快でなんだかんだ楽しかった日常はもはや存在しない。いや、もともとそんなものなかったのではないのか? おかしくなったのは俺の頭ではないのか?そんな考えが消えてくれない。
ハルヒや古泉の行方もわからないまま、俺はぼんやりと駅へ向かっていた。
防寒をいくらしっかりしていたとしても、マフラーや袖の隙間から冷たい風が入り込んでいる。寒さに強いとはいえない俺は、体を縮めながら歩く。
頭のなかではたくさんの考えが浮かんでは消え浮かんでは消えて行った。あいつらはどこにいるんだろう。様子の変わってしまった仲間たちのこと。俺の記憶にあるSOS団について。俺は、どうしたいのか。
考えて考えて、心ここに非ずで歩いていたわけだ。周りなんて見ているはずがない。猫背をさらに丸めた俺の視界には、いつの間にか正面から向かってくるスニーカーが映っていた。

「っいて!」
「うわっ」

突然の衝撃。額への痛みと前方から何かにぶつかられたことでバランスを崩し、たたらを踏んでなんとかその場に踏みとどまる。くらりとする視界で前を確認すれば、同じくふらりとしながら顎を抑える男の姿があった。
まずい。一瞬で頭が冷えた。
その男は同年代だろう。知っている高校の制服だ。電車で少し行ったところにある高校で関わりはないのだが、なぜ俺が知っているのかというと、このあたりでは有名な不良校だからである。後ろには何人も、同じ制服を着崩した高校生が立って、うめき声を上げている男に声をかけている。どいつもなんというか、個性的な髪形や色をしていて、冷や汗がたらりと垂れる。
たぶんこいつらは、考え事をして仲間にぶつかっていった俺にたいして喧嘩を吹っ掛けるだろう。謝ったところで許すかどうか、いや、する前から決めつけてはいけないが、しかし。

「どこ見てんだこら!」

だめだ。だめだった。テンプレ通りのドスのきいた声音に頭が痛くなる。謝ったところで許してはくれまい。そう確信する。
生憎だが、俺は喧嘩なんてほとんどしたことがない。人を殴ったことなんて、友だちと冗談でぽすぽす叩き合ったことがあったかないかくらいで、本気で相手に怪我をさせようとして殴る蹴るをするなんて考えたこともない。命の危険にさらされたことはまああるにはあるが、それだけだ。長門が助けに来てくれたり古泉が機転を利かせてくれたり朝比奈さんによる未来からの援助があったりで乗り越えられてきた。俺自身は誰かを殴ってまで助かったことはないのだ。
それは、昔の話。今、俺の周りに俺を助けてくれる人は、いない。

「痛えじゃねえか! 喧嘩売ってんのか!?」
「すんません、前見てなくて」
「それで謝ってるつもりかよ! そっちからぶつかってきといて、慰謝料だ慰謝料!」

誠意を見せろ金を出せ。そうじゃなけりゃ仕返しさせろ。
男たちが口々に怒鳴り散らす言葉が頭にじんじん響く。周囲の人はみな視線をそらして、そそくさと通り過ぎていく。
こわいのもあった。こんな何人もによってたかって殴られたりしたらただじゃ済まないだろう。こんなところで足止めをくらっている間にもとの世界に帰れなくなるかもしれない、なんて焦りだとか、怒りのようなものも浮かんでいた。
それ以上に重くのしかかったのは、どうしようもない孤独感。俺の仲間はどこにもいないという感覚。
男が拳を振り上げていた。あれが当たったら痛いんだろうな。けれど避けるなんてことできるはずもなくて、ぎゅうと目を閉じる。

「誰だおまえ!」

結論から言うと、その拳は俺に届かなかった。目をつむって覚悟を決めた耳には、ばちんと痛そうな音と不良たちの焦ったような声が聞こえた。
恐る恐る開いた瞼のむこう。大きな背中が、俺の前に立ちはだかっていた。

「なんだなんだ寄ってたかってよお。そんなに喧嘩したいのかよお前ら」
「なんだよてめえには関係ねえだろ! そこどけよ!」
「関係はねえけど、ちょうど苛々してたところに殴り甲斐がありそうなやつらがいたら、混ざりたくもなるだろ?」
「は、はあ!?」

好戦的なことをぽんぽんと言う目の前の人に、不良たちは押し負けているようだ。広い背中から少し顔を出してうかがえば、怒りに満ち満ちていた目が今は困惑で揺れている。
微妙な沈黙が数秒流れたとき、どこかから警察を呼んだぞという声がした。見てみぬふりをしていた何人ものうち、誰かが勇気を出してくれたに違いない。不良たちと同様どうしたものか分からず固まっていた俺も、その声でようやく体が動いた。

「こっちだ!」

俺の前に立ちふさがる誰かの腕を夢中でとって、走る。不良たちもまた逃げ出していくのが見えたので、その反対方向。その人は意外にも素直に俺についてきた。二人でどんどん走って、高校への上り坂の手前辺りにある小さな空き地に隠れた。
息を乱しながらも後ろを確認する。誰も追ってきてはいないようだ。不良も警察もいない。ようやく呼吸を整えることができる。
やっと離した手は、大きくてかさついていてあたたかかった。それがポケットにしまわれるのに誘われるように顔を上げて、ぎょっとした。俺が手を引いてきた男は、先ほどの不良たちと負けず劣らず怖い風貌だったのだ。髪の色こそ地毛だと思われる黒だけれど、オールバックのようにしていて妙に迫力がある。ぎらりとした細長の鋭い目。眉も吊り上っていてきつそうな印象を受ける。整ってはいるけれど、きつめの強面、といったかんじか。ガタイも俺よりずっとよくて、喧嘩したがるだけあるなあと思わされるような体つきである。
コートの下の制服は、俺と同じブレザー。あの県立の普通高校にこんな怖そうな人がいたのかと、ついつい記憶をさかのぼってしまう。
その人は、俺をじっと見ている。品定めされているようで怖い。とはいえこのまま黙って見つめられているわけにもいかないので、ひとまず軽く頭を下げた。

「あの。さっきは助けてもらってありがとうございました」
「あ? ああ。偶然通りがかっただけだし気にすんな。誰か殴り飛ばしたかったのは本当だから礼言われる筋合いもないぜ」
「は、はあ」

言葉がいちいち物騒だ。ひくひくと頬が引きつるけれど、助けてくれた相手にたいしてビビるのも失礼だろうとなんとか目を逸らすことは耐える。それに見た目こそ怖いけれど、今は喧嘩を吹っ掛けようという雰囲気は感じない。俺に対して危害を加えることはないだろう。
男は気だるげに肩を竦め、ポケットから小さな箱を取り出した。なんだなんだと確認する前にもう片方の手にはライターが握られ、棒の先っぽに火が灯される。
煙草……。うまそうに棒を咥える男に、耐えきれず視線を虚空へ逸らした。

「で、なんであんな奴らに絡まれてたんだ」
「あ、ええと、俺が悪いんです。ぼうっとしてたらぶつかって」
「はあん。それで金がどうだの仕返しがなんだの言われてたわけか。ついてねえな、お前」
「自覚してます。それで、あんたは、……けほっ」

名前の一つでも聞いておこうかと思ったところで、煙に喉を刺激されて咳が出る。悪い悪いと向きを変えてはくれるが火を消すつもりはなさそうだ。同年代とは思えない慣れた手つきでぷかぷかと煙が空に浮かんでいく。
鋭い視線はじっと俺に注がれたままだ。咳をしながらも気まずくて、ついつい体が縮こまる。

「お前、一年?」
「あ、はい。そうです」
「お前みたいなの、学校で見たことあったっけな。まあ学校なんてほぼさぼってるし、すれ違ってても覚えてねえけど」
「は、はは……」

何やら品定めするような視線。曖昧に相槌をうちながら少し後ずさる。
男、たぶん先輩は、ふうっと勢いよく煙を吐いて、軽く笑った。野性的な笑みだ。獰猛でこわくて、でもどこか魅力的。

「ま、いいか。お前、コレのこと誰にも話さねえだろ?」
「そりゃ、一応恩人なんで、多少は庇いますけど」
「いい心がけだ。俺にそれほどビビらないし、お前、面白いよな」
「あ、ありがとうございます……? そんなん、滅多に言われませんけど」
「ふうん。よし、もし困ったことがあったら助けてやるよ。学校でも声かけろ」
「……は?」
「味方になってやるって言ってんだよ。まあお前、敵とかいねえだろうけど」

にやにやとした笑いは消えないけれど、どうやら本気のようだ。楽しげに自分のクラスを告げる様子は浮足立っているように見える。一つ上の先輩だったらしい彼は、上機嫌で煙を空に吐き出している。

「最近退屈で死にそうだったんだ。なんとなくだけどな、お前といると何か起きそうな気がするぜ」

そう語る目はキラキラと輝いていて、俺の知っている世界の後ろの席の奴みたいだななんてふと頭によぎる。
その人は、また会おうななんて笑いながら帰っていった。俺は呆然としてしまって、何も言い返せず立ち尽くす。名前を聞き忘れたことに気が付いたのはずいぶん経ってからのことだった。



俺が世界の改変を防いだのは、それから数日後のことだった。俺の知っている世界を選び、あちらの世界を捨て去った。それについては少し思うところがあるけれど、後悔はしていない。誰かに恨まれたって、悪いが知ったことか。選択する権利があったのだからしかたがない。俺はこちらの世界を求めて止まなかったのだから。
そんなわけで、あの冬の日の前と同じく、平穏とは言い難い非日常な日常を過ごしていたわけだ。だから、その人の姿を見たときにも、困惑はしたけれど驚きはしなかった。

「このたび、全校生徒の支持を受け、生徒会長に就任させていただきました。私の公約は以前お話したとおり――」
「……あの不良だ」

新生徒会長の挨拶の際、思わず口から出たのはそんな言葉だった。
もう存在しない世界で、俺を助けてくれた不良生徒。その人が、檀上で熱く演説をしている。顔立ちはもちろん変わらない。ただ、髪形はきっちりと綺麗に上げられ、インテリな雰囲気を醸し出す眼鏡が顔の上できらりと光る。口調も、優等生らしいかしこまったもの。俺の記憶にあるその人とは似て非なる雰囲気だ。
生徒会長になったのか、あの不良が。
もしかして改変の影響でだとか色々考えるけれどわかりえないし、長門も何も言わないからいいのだろう。
ただ、気になる。あの不良が、仲間がいなくて孤独だった俺に軽い気持ちでだって味方になると言ってくれたあの人のことが、気になる。だから生徒会長のことも気になって、なんとなく遠目で見てしまって。機関の協力者だと知って、その生徒会長然とした態度が偽りで、中身はあの人と変わらない不良だと知って。
俺は、いつの間にか、生徒会長その人とお付き合いなんてものをすることになっていた。



俺の最近の日課は、部活が終わってから生徒会室へ赴き、会長の仕事が終わるのを待って一緒に帰宅することだ。
SOS団の活動は休んでいない。会長と親しくなったのだと告げると、ハルヒは不満そうにしながらも交友関係に口出しする権利はないしと認めてくれた。恋愛的な意味で付き合っているという話をする勇気は今のところないが、いつか話せたらいいと思う。
今日も、生徒会室で適当な本を読みながらすごし、会長を待っていた。彼はとても優秀だ。機関の働きかけによって会長に選ばれたのだというけれど、会長としての仕事は彼自身が行っている。彼は、俺が見ている限り滞りなく職務を全うしている。真面目堅物な会長という仮面も剥がれていないようだし、完璧に演じきっているように思える。
下校時間直前になって、ようやく帰宅することになった。俺の頭にぽんと触れるのが、帰るぞの合図である。

「待たせたな」
「や、俺が勝手に待ってただけなんで。終わりましたか?」
「まだ少し残ってるが、明日やるさ」

ふうっと肺に残った最後の煙を吐きだして、着崩した制服をきっちりと纏い始める。俺と二人きりのとき、彼はいつも不良スタイルだ。それが素なのだからおかしくはないけれど、生徒会長としての姿を知っている分、たまにおかしくて笑ってしまうことがある。
基本的には機関関係とSOS団の面子以外には彼の本性はばれていないらしい。もし知られたとしても機関が何か手を打つのだろうが。
だから、一般生徒に素がばれている可能性なんて想像もしていない。会長が就任してすぐに部活の申請書を提出しに行ったときの顔は見ものだった。「あんた、もしかして元ヤンだったりしますか?」なんて言われるとは思いもしなかったんだろう。まあ、結局俺も機関の関係者ということになるわけだから、一般生徒とは言えないのだけれど。
思えば、この世界においてはそこが始まりだったわけだ。俺と会長がはじめて言葉を交わして、なんとなく互いに好意を持ってよく話すようになって、好きになって。そうしていつの間にかお付き合いをすることになって。
俺の記憶にはずっと、もう一人の会長の姿がある。生徒会長なんてしたいとも思っていない、不良でいることが当然で、その分生き生きとフラストレーションを発散していた人。その人に助けてもらったことが、俺にとって会長との関係の第一歩だったわけで。

「そうだ。土曜日、前言ってた映画見るぞ」
「え、借りられたんですか」
「昨日見に行ったら返却されてた。どんだけ待たせるんだって話だぜまったくよ」
「ずっと見たいっつってましたもんね。じゃあ遊び行きます。飯どうします?」
「この間テレビでやってたのがうまそうだったから俺が作る」
「珍しいこともあるもんっすね」
「たまにはな。たまには」

他愛もない会話をもそもそとしながら帰路を辿る。駅までは一緒に下校できるので、徒歩通学の会長に合せて俺も歩くようになった。人目がなければ、俺たちはだらだらとした態度を隠さない。好き合って付き合いだしたからといって、親しい先輩後輩という関係が崩れたわけではない。普段は普通の友人のように互いに接している。
改変を正すことがなければ、こういう日常が普通になっていたのかな、と思うことがある。
ハルヒの力がなければ機関もなく、会長が生徒会長になる必要もない。彼は不良のまま、俺と知り合って、親しくなるんだ。そうして俺たちはやっぱり付き合って、誰に隠すこともなく、素の表情のままで。
想像してしまう。考えてしまう。
もしかして、あっちの世界のあの人と今俺といるこの人は、別の人間なんじゃないのか? 俺が恋をしたのは、いったいどっちだったのか?
「どうかしたか?」

返事を返さなくなった俺に、会長が声をかけてくれる。いくらも上から落ちてくる視線は俺を案じてくれているけれど、駅に近づくにつれ人が増えてきたからか、その表情は生徒会長バージョンだ。それに少しのさみしさを感じてしまうんだから、馬鹿だっていうんだ。

「大丈夫です、なんでもな」

ふと、視界に一つの制服が映りこんだ。このあたりで有名な不良校だ。派手な髪色と着崩した制服と耳に痛い笑い声。俺と、あっちの世界のあの人を出会わせた制服だ。
気付いたら、口が勝手に動いていた。

「会長」
「あ?」
「もし俺が不良に絡まれたら、相手ぶん殴ってでも助けてくれますか」

ぽかんとした顔。しまった、と思うけれど取り繕うこともできず口を噤む。
馬鹿野郎。いかさま込とはいえ生徒会長を頑張ってやってる人になんてこと聞いてるんだ。俺なんかのために他人殴ったりして、学校での立場も進学も棒に振らせるっていうのか。
頭の中では色々と考えが巡っているのに言葉はまったく出ない。会長の顔を見続けることができなくなって顔を伏せる。足も止まってしまった。横を何人も何人も人が通り過ぎて行って、その中に例の制服もあったのかもしれない。そいつに俺はぶつからないし、喧嘩を売られることもない。今の俺には仲間がいて、不良は生徒会長になっている。

「ぶん殴ることはできねえな」

そうだよな。そんなことできないし、させるわけにいかない。自分は自分で守るべきだ。それにこの世界には俺を守ってくれる仲間がいる。味方になってやるなんて笑ってくれる人はいないし、いらないんだろう。
ぽん、と、頭をはたかれる。痛くなんてない。いっそ優しいくらい、そっと触れた掌。

「だが、お前を助けて相手を社会的に殺す方法なんて、暴力以外にいくらでもある」

はっと顔を上げる。にやりとした笑みが上から落ちてくる。会長はその表情のまま、もう一度俺の頭をぽんと叩いて、歩き始めた。
呆然とする俺に、背中を向けたままで言葉が向けられた。

「どんな奴が敵だって守ってやるさ。俺はお前の絶対の味方なんだからよ」

前に進む背中。慌てて隣に並んで、足を踏み出し続ける。俺よりずっと背の高い会長の表情は、向こうから見せようとしない限り目にすることはできない。どんな顔をしているのかは分からない、けれど、その色は分かる。彼の首は、ほんのりと朱に染まっている。
その朱色を見ていると、胸に確信が宿った。変わらない。方法は違えど、あちらの不良もこちらの会長も俺を助け味方になると言う。きっと、何も変わらない。

「……そんなことしちゃっていいんですか」
「いいに決まってる。権力なんてもんは使ってなんぼだろ」
「俺のために?」
「ばあか。俺が、お前を他人に傷つけられたくないからするんだ。お前のためじゃねえよ」

早足で会長の後ろをついていく。思わず笑い声をあげると、長い腕が伸びてこつりと頭をノックする。
不良であっても会長であっても彼は俺を助けてくれるし守ってくれるんだろう。友だちになって味方になって、きっとどんな彼も俺を愛してくれるんだろう。この人、どんな境遇でも俺のこと好きなんだ。うぬぼれじゃなくそうなんだ。なんだ、なんか、嬉しくて恥ずかしくてくすぐったくて、あの人にたいする申し訳なさと恋しさと目の前の会長にたいするいとおしさで、目元が熱くなる。

「で、なんでそんなこと聞くんだ」
「もういいんです。あんたがあんたのままなら関係ないことなんで」
「はあ? それで納得すると思ってんのかよ」
「納得してくれなくたって話しやしませんよ。あ。土曜日の飯の味によっては考えますけど」
「ふん。覚悟しとけ。泣いて喜ぶほどうまいもん作ってやる」
「なんで喧嘩腰なんすか?」

変わらぬ会話を交わしながら帰路を進んだ。
軽口に笑いながら思う。俺も、どんなこの人だって好きなんだ。なんて単純明快な答えだろうか。
繋ぐことはできないけれど、偶然を装ってその手に触れる。大きくてかさついていてあたたかい。それだけで、答えを得た俺はもう満足なんだ。





END.

2015/09/21

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