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うだうだと日記


消失期間

2016/12/18 22:31

今年も始まりました心がしんどい。
なんというか改めて…知っている人がいなくなって知っている人が知らない人になっていたキョン君しんどすぎるし、キョン君に手が届かなかった古泉もつらい。
というわけで短いやつを以下。




浮かれた空気は嫌いだ。自分がどうしようもなく惨めになって、浮かれている人たちが憎たらしくなってしまうから、嫌いだ。そんな風に醜い感情を抱く自分のことが嫌いになるから、これ以上嫌いになりたくないから、嫌いだ。
だから、クリスマスなんて存在しなければいいのにと思っていた。
ケーキ。ツリー。イルミネーション。寄り添って歩く人々と笑顔。見るのも聞くのも嫌だ。
でも、今年は違う。仲間とともに、楽しくって幸福で優しい時間になる。
はずだった。はずだったのに。

死、というものを、意識してこなかったわけじゃない。死ぬかもしれないと思いながら閉鎖空間へ向かってきたし、戦ってきた。日々生きていることが奇跡みたいなものだったし、死があるからこそ必死に生きていると、そう思ってきた。
けれどそれは、自分の死についてだけで。
彼が、手の届かないところへ落ちていくのを見つめている、たった数秒のこと。死が、目の前に暗く暗く影を落とした瞬間。消える。この世からその人物が消えてしまうという恐怖を、どう言い表したものだろう。
代われればよかった。腕を引いて、自分が代わりに落ちたのならよかった。
その場にいなければよかったのだろうか、いや、でもそれはそれでたまらない。助けられなかったという後悔があろうとも、その場にいられたほうがいい。
いっそ、彼を失う恐怖を味わう前に死んでしまえばよかったのだ。そうしたらもう何もこわくないのに。でも、でも、今度は彼が恐怖を抱くのかな。それは嫌だな。
だからつまり、僕にはどうしようもないことだったのだ。
一人でもぐりこんだ布団の中、眠ることもできず天井を見つめる。手足が冷えて思考がまとまらない。落ち行く彼の背中と、ベッドに横たわる表情が浮かんでは消える。
ずっと隣にいると思っていたんだ。消えるなんて、いなくなるなんて、考えもしなかったんだ。死というものを、彼の、あなたの死というものを、意識したことなんてなかったんだ。きっとそれは、逃避に近いもので。
いなくならないでくれ。
目を閉じ、祈る。
したいことがたくさんある。伝えたいことで溢れて苦しい。まだ、まだ、一緒にいたりない。具体的にはあと数十年ほど足りないから。
外から、調子外れのクリスマスソングが聞こえる。僕の嫌いな浮かれた歌だ。だからだから、今年くらいはいいだろう。彼を失う日になんてなったら、絶対に許さない。彼を守れなかった自分のことを心の底から憎んだあとに、クリスマスなんて消えてくれ。



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