(おまけの後日談)


マクタバとヌモがサイファちゃんの村を出た後、ループさんのお城に招かれるという展開を、ループさんサイドから書いたお話です…。


※先に伝えておきたい妄想フル稼働の設定↓

・ループさんもマクタバも、互いに相手に対して興味を持っているが多忙であるため会って話すことは不可能だと思っていたが、時間が取れることになった。

・ループさんは長いこと生きていらっしゃる上に世界をよく知っているので、記人の秘密をご存じである。故に、直接マクタバと連絡を取ることができる。


***


「アルフォンス、来客だ」

 すれ違いざまのループの声に、アルフォンスは彼の名を呼ぼうとして開きかけた口をそのままに振り返った。
 見れば青の間へと続く螺旋階段から降りてきたループは、シャイニーを肩に乗せたまま廊下を歩いていく。
 長くループに仕えているアルフォンスは、他の者には察することができないような、ほんの微細な変化に気付いた。
 少し高めの声色と軽快な足取り――何やらループは楽しそうなのである。
 常時口元に笑みをたたえているループではあったが、今すれ違いざまに見たそれは、少し異なるニュアンスを含んでいた。
 アルフォンスは手元にある一通の赤い封書を見ながら彼らの後を追った。

「鏡路の使用許可を出した。じきにやって来るだろうから、出迎えに行ってやってくれ」

 ループはアルフォンスが後ろに付いたのと同時に指示した。

「それは……随分急な来客ですな」

 アルフォンスは思案するように白い口髭をさする。ループへの面会の申し出に最終的な判断を下すのは自身の仕事だが、それが無かったということはループ自身が面会を希望していて、しかも彼自身で実現させたことになる。
 また鏡路は緊急用の通路として使われるものだ。そこを通ってくるということは、よほどの事態だと察する。
 それなのに、どうもループの声が笑っているようなのである。

「ああ、互いに会うことは不可能だと考えていたからな。しかし多くの幸運が重なって、こうして機会に恵まれることになったのさ」
「して、その客人とは?」
「今君が僕を訪ねて来た理由さ」

 思わずアルフォンスは手元を見た。

「速達で届いたのだろう?」
「はい。しかし、差出人の肩書が見慣れぬものでしたので……」
「それは礼状だよ、僕が鏡路の使用許可を出したことへのね。僕はこれからそれの差出人に会うんだ」
「差出人とその弟子に、だろう?」

 ループの肩に乗っているシャイニーが長い尾を揺らした。

「全く、君はとんだ物好きだな」
「まぁそう言ってくれるなシャイニー。どうだい、君も一緒に彼らの話を聴かないか」
「遠慮しておくよ。僕はあの弟子が嫌いだ」

 ループは自室の前まで来て、アルフォンスに振り返る。そして封書を受け取ると、その場で開封してさらりと目を通し、またアルフォンスに渡した。

「僕は面会の支度をするよ。ハーディーに茶の時間を半刻ほど遅らせるよう伝えておいてくれ」
「承知しました」

 扉が閉まる。アルフォンスは手に戻って来た封筒と便箋を見た。丁寧な筆跡にまだ見ぬ客人の姿を思い浮かべた。

「丁重にお迎えせねば」

 アルフォンスは踵を返した。


***


★この後の展開を書き連ねてみる

・ヌモがアルフォンスさんを王様だと勘違いする。

・ヌモがループさんに失礼な振る舞いをする…と見せかけてしない。なぜならば、鏡路を通って来る前にマクタバに「そんなことをしたら殺す」とガチで念を押されたから。

・旅の途中で青球体と何度も遭遇していたヌモ。内心『こいつが覗き魔か…』と悪態をついているのをループさんに悟られていじられる。顔を引きつらせて否定するヌモ。だってバレたらマクタバに殺されるもの。

・ループさんとマクタバはリュシアンさんの話で盛り上がる。

・アルフォンスさんに「なぜマクタバに会うことを強く希望したのか」と訊かれたループさんのお答え↓

「青球体でも見えぬものがある。それは僕以外の誰かから見たこの世界さ……客観的な視点ともいうね。そういった意味では記人以上に、この国を公平に見てくれる者はいないだろう。名高い彼女の目にこの世界がどう映ったのか訊きたかった。実に興味深いとは思わないかい?」

↑負の感情ではなく、自分の国に自分の知らない美しいものや貴いものが隠れていたら良いのにな^^みたいな気持ちだと思われます。宝探しのようなワクワク感。

・でも結局ループさんは、自分の国を丸ごと愛しんでいるので、客観的視点などどうでも良いことなのでしょう(笑)

・そんな会話に退屈し始めるヌモ。ご厚意でイークナブルの紅茶を頂けることになったが、シャイニーさまと鉢合わせて失礼千万な振る舞い→龍シャイニーさまとバトル→死にかける。

・締めくくりは「無理じゃない、やれ」でお願いします(笑)



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