07





「スーパーナー」

「…………。」

「スパナー遊んでってばー」

「今手が離せない」

「えー…わかったよー…」


いつものごとく絡んでくる名前を軽くあしらうといつもと違い渋々部屋を出ていった。

いつもはなんだかんだ言って自分の側から離れないのに。

その時はそのうち戻ってくるだろうと高を括っていた。







「戻ってこないな」


あれから数時間。


最初の方こそは仕事に集中していたが今は集中できない。



「ウチがこんなに依存するなんて」


そう呟いたスパナは彼女を探すために部屋を出た。














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「正一!」

「うわっ名前か…いきなり部屋に入ってくるなって何度言ったら…」

「ノックは何回もしたけど?ヘッドホンをつけて大音量の音楽を聞いてたのはどこのどいつかなぁ?」

「……ごめん」

「わかればよしっ」


素直に謝れば満面の笑みを向けてくる名前。


「それより、何かあったのかい?僕のところに来るなんて」


名前と僕は所謂幼馴染みで、彼女がスパナと付き合う前はよく相談されていた。

二人が恋人同士になってからはめっきり数が減ったけど。そう考えると彼女は結構薄情だ。


「そうなの聞いてよ正一!スパナがさー…」


久しぶりに来たと思えば話題はやっぱりスパナの話。


もう本当にため息が出る。


スパナもスパナだ。いくら仕事があっても名前が僕の所に来るくらい寂しがらせることは無いのに。



名前の愚痴はまだまだ止まらない。気づけばもうかなり時間がたってしまってる。


…僕もそんなに暇じゃないんだけど、今日は仕方ないか…。


「それでねー…スパナったら目も合わせてくれないんだよ?」

「あー…それは…まぁ…。名前もそれをわかって告白したんだから」

「そうだけどさーやっぱりいざそうなると結構辛いんだよ」


机に伏せてうーと唸る名前。


「ま、なんだかんだスパナも名前が好きだから大丈夫だよ」


彼女の頭を軽く撫でれば、ありがと、と柔らかい笑みが返ってきた。



ガチャ




「…正一、何してる…?」

「…あ」


スパナが入ってきたのはそんなタイミングだった。







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