ただいま誠凛メンバーのご飯作り中。


今は合宿中で、みんなは練習。


私はマネージャーってわけじゃないけど、今回はリコに頼まれて料理を作りに来てる。




今日のメニューはビーフシチュー。

味は分からないけど、まぁ人並みには出来たはず。



鍋がグツグツいい始め、さて次はサラダでも作ろうかと思った時、調理室のドアが開いた。


「おーいい匂いするな。」


日向君が入ってきた。



「あれ?日向君、どうしたの?」

「あ、あぁ、今丁度休憩に入ってさ」


何故かあらぬ方向を見ながら言う日向君。なんで?

そう思ってるのも束の間、


はぁー

と盛大に息をつきながら椅子にもたれ掛かる日向君を見ると、かなり練習がキツかったんだなって思った。


「お疲れ様っ。」

「あぁ…それより名前、飯作ってもらったりしてわりぃな。」

「ううん全然!あ、あのさ、もし良かったらこれ味見してくれない?」

「まじで?」

「嫌じゃなかったらなんだけど…」

「嫌じゃないさ。遠慮なく食わせてもらう。」


そう言った日向君に胸が高鳴った。


小皿に少しだけよそい、日向君に渡す。


「旨そうだな!」


彼は早速小皿に口をつける。

何て言うんだろう。あ、美味しくなかったらどうしよう。

そんな不安をよそに


「すっげぇ旨いっ!名前料理上手いな!!」


目を輝かせて感想を言ってくれた日向君。


「ほんとっ!?嬉しいっ!!」


好きな人に誉められることはほんとに嬉しくて気分ルンルンでサラダを作り始める。

が、それが間違いだった。


「いっ…!」

「どうした!?」


ガタッと音をたてて椅子から立ち上がった日向君は大慌てで此方に向かってきた。


「ちょっと、包丁で…」

「見せてみろ!」


事情を説明する前に日向君は私の手を取った。

ヤバい心臓が。
心臓が。

今はもう痛さより恥ずかしさと嬉しさでいっぱいだ。


「あの、日向君…」

「ダアホ!!」

大丈夫だから心配しないで。
そう言おうと思ったら急に怒鳴られた。

包丁使うときはもっと注意しろよ

怒られているのに、
あぁ、私はやっぱり日向君が好きだ

なんて再認識する私はダメなんだろうか。

それでも、本当に心配して言ってくれてるって思ったら、そう思わずにはいられなかった。


いつかこの思いを打ち明けたい。

まぁ、受け入れられる可能性なんてゼロに近いんだけど。


そんな事を考えていると、私の人差し指、いや、手はタオルでぐるぐる巻きにされていた。


「え?」

「汗くさいかもしれねぇけど、血止まるまでの間我慢しろよ!」

「う、うん。」

「ほんと悪い。絆創膏とか持ち合わせてなくて…」


そうか。これはきっと彼なりの治療の仕方。
私の人差し指から出る血を止めるために、自らの首にかけていたタオルを使って止血しようとしてくれたんだ。




…ん?って事は…

日向君のタオルは今私の血が浸食しているわけで。


「あわわわわ…日向君ごめん!」

「は?何が?」

「だって日向君のタオルに血が…」

「んな事気にすんな。洗えば落ちる。」

「でも、血ってなかなか落ちないよ?っていうか、新しいの買った方が…私弁償するから!」

「いいって!……………あ、じゃあさ、合宿が終わったら、一緒に買いにいかねーか?」

「……………へ?」


思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。


「急になに言い出すんだとか思わないで欲しいんだが、その日はその、デートをしないか、と。」

「え?あの…つまりそれは」

「好きだ」


あぁ。私は夢でも見ているのかな。ずっと好きだった人から告白されるなんて。


私は満面の笑みで答える。


「日向君、私も好きだよ。合宿が終わったら、デートしようね!」


「…!あぁ。」



二人で指切りをして、約束を交わした。



照れ隠しなのか彼は、


「ほ、ほら、今日はもう飯食って寝ろ!」


なんて、それじゃあ私が風邪引いてるみたいだよ。

まるでお母さんみたい。

っていうかまだ夕方だし。




それでも、日向君のひとひとつの言動が私に元気をくれる。



私はタオルが巻かれている手を見つめて笑みを溢した。





不器用な優しさ

(あ、あのさ日向君…)
(順平)
(え?)
(これからは順平、な。名前)
(う、うん。じゃあ順、平)
(ん?)
(休憩っていつまで?さっきからリコが…)
(……っカントク…!?)
(リコ、スッゴい満面の笑みで去ってったね…)
(………名前、俺今日死ぬかも)
(えっ!?)




End.



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口調あってるか不安です

なんか切実に文才が欲しい今日この頃。

では
ここまで読んでくださりありがとうございました




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