「最近どう?学校は楽しい?」 「楽しいですよ。学校では勉強をして、それから毎日バスケをしています。」 「バスケ?!テッちゃんが運動?!」 「何ですか、その顔は。これでもレギュラーです。」 テッちゃんはエッヘンって顔をした。私にとっては意外すぎる。だってテッちゃんは運動神経があまりよくなくて、一緒に運動をすると私より先に休憩する思い出しかない。そう言われて見れば体が逞しくなっている……かも…?……多少は。 「名前、信じていませんよね。」 「だってテッちゃんがス●ムダンクする姿なんて想像できない。」 「スラ●ダンクだけがバスケではありませんよ。僕は僕のバスケをしています。」 「バスケってことは友達とやってるの?大丈夫?パス貰える?テッちゃんの存在感がなさすぎて、体育でチームを作るものは独りぼっちだったでしょ。」 「大切な仲間がたくさん居ます。パスは貰うより、僕が仲間にボールを渡す役割なんですよ。だから昔みたいに名前が居なくても……。」 テッちゃんは目を泳がせて言葉を切った。体育の時もだけど、それ以外でも私はテッちゃんの側に居て皆の輪に入れようとしていた。それでもなかなか皆に認識されなくて私が困ったっけ。そうしたらテッちゃんが“名前が居るから大丈夫ですよ。”って言ってくれた。 「ねぇ、テッちゃん。今何て言おうとしたの?」 「何でもありません。」 「何でもなくないよ。」 「何でもありません!」 テッちゃんの声が大きくなって、握り拳が力強く握られた。帰り道とは違うって本当は分かってるでしょ?いつまでもこうしていたいけど、皆が心配するからそろそろ帰ろうよ。 → |