暖房がガンガンに効いていて暖かい教室にその二人は居た。

「なぁ、名前…何で俺達クリスマスなのに学校に居るんだろうな。」

「赤点とっちゃったからしょうがないでしょ。」

燐の呟きに呆れつつ、名前は問題を解きながら応えた。

本来、二人の通う高校である正十字学園は冬休みに入っているため基本的に一般生徒はいない。

そんななか何故、二人が机に向かっているか―――それは先程名前が言った通り、テストが赤点だったから…つまりは属に言う補習である。

「あーぁ。名前、なんで英語だけ赤点なんだよ。それ以外の教科はほとんど80点代以上なんだろう?」

握っていたシャープペンを弄びながら言った。

「英語は私には理解出来ない。何で同じ単語なのに三個も四個も意味があるの?信じられない。」

ペラペラと紙の辞書をあさりながら名前は目的の単語を探していた。

「俺も同感だけどな。」

「燐の場合は他の科目もでしょ?」

クスリ、と笑いながら言う。

「ま、まぁな。」

その言葉にばつが悪そうに燐が頭を掻く。

「にしても、クリスマスか…じじいと雪男と名前で祝ったのが懐かしいな。」

「そうだね。」

藤本さんと過ごした日々を随分懐かしく感じる。

そんなに昔な訳ではないのにな…。

「おい、名前っ!!」

「ん?」

急に燐が席を立ち、座っていた名前を立たせ引っ張り窓まで連れてきた。

「わぁ……!」

目の前に広がるのは深々と降り積もる雪だった。

「凄いだろ?」

「うん。」



(それはささやかな幸せ)


title:空のキス