「大谷さん、大谷さん、」

名前は刑部こと大谷吉継の自室に押し掛けていた。

執務をこなすべく、書簡に目を通す大谷の背中に呼び掛ける。

「そこまで名前を連呼せずとも聞こえておる。何用だ、名前」

何度も呼び掛ける名前を鬱陶しく感じたのか、大谷がようやくその呼び掛けに応じた。

「知っていますか?流れ星にお願いをすると、願い事が叶うんですよ。」

「……違うなァ。流れ星は人に不幸に落とす為にあるのヨ。」

「確かに、落ちたりして家が壊れたりする人は居るかもしれませんけど、それは…それこそ何万分の一の確率ですよ!」

それに…、と言いそこで名前は一度言葉を切った。

「願いが叶う方が幻想的じゃないですか!」

名前はあまりの力説に思わず拳を握りながらそう言った。

その様子に大谷は一度、動作を止めた。

彼女のあまりの力説ぶりに唖然としたからだった。

呆れ混じりに溜め息を吐く。

「……相変わらず、ヌシの考えることは分からぬなァ。」

「他人の考えることが全て分かったらプライバシーもへったくれもないじゃないですか!って、そうじゃなくて……」

本来の目的を忘れ話題を脱線させてしまった己に呆れつつ、名前は襖に手を掛けた。

「大谷さん、是非とも刮目しちゃって下さい!」

そう言うと、勢い良く名前は襖を開け放った。

「………!」

襖の外に広がるのは煌めく星達の姿だった。

「こと座流星群です!さぁ、一緒にお願い事をしちゃいましょう☆」

「ヌシは真に予測つかないことをしてくれるなァ…。」



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