過去原稿 | ナノ


-1-  



 気付いたときには、私はもう、独りだった。
 信頼出来る人も、大切な人も、愛してくれる人もいない。何度も何度も違う人生を繰り返し、持ち主を失えばその生涯を終える。だが、何度も繰り返すうちに、愛してくれる人が、大切にしてくれる人が現れた。
 ――絶対、絶対死なないでね。
 何度も、繰り返した言葉。
 ――大丈夫だよ、死なないから。
 何度も、耳にした言葉。
 なのに、
 長髪で弱々しいけれど、心の底から愛してくれた優しい彼も。妹が欲しかったのだと、それこそ私を妹のように愛し、養ってくれた彼女も。もう、私の傍にはいない。
 どうして、どうして。
 私を愛してくれる人ほど、早く生涯を終えてしまうのでしょうか、神様。


[ prev | index | next ]


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -