短編 | ナノ



抑え切れない。

心のブレーキを、抑えることが出来なかった。


思わず押してしまった再生ボタン。
流れたのは、君がくれた歌。

流れそうになる涙を堪えて、必死で停止ボタンを押した。


君との思い出が、日々が、砂時計のように流れ落ちるのを感じた。


瞳に溜まった涙を、流すべきか、否か。
流してしまった瞬間、私の中で塞き止められていた何かが、溢れ出てしまうのではないか。

恐かった。
ただ、怯えていた。

君との日々に縛られる私には、戻りたくなかった。


音に成らぬ声を上げ、ただ私は叫び喘ぐ。




愛しています、誰よりも。

この想いを消すことは無いでしょう、天の神に誓って。



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