短編 | ナノ


 ジュース!

 叫んだ彼女に俺は制裁を下す。ほらみろ何人か振り返ってんじゃねぇか迷惑なんだよチビ!


「痛いー!」

「知るか黙れ」

「きゃー痴漢されたー!」

「頼むから黙ってくれやがりませんか畜生」


 じろじろと、あからさまなまでに向けられた視線。そんな周囲にぺこぺこと頭を下げ、再びそいつに制裁をくらわした。さっきは軽く頭を叩いたから、今度は頬だ。柔らかな感触が指先を伝う。白く綺麗な肌に、赤みが差した。


「ひりひりする」

「だろうな」


笑って、頭を撫でてやった。俺のつねった所が赤く目立つ。なんだか優越感。


「しょーとこうやって馬鹿するの、好きなのになぁ」


明日からは遠い場所へと移り住む彼女は、悲しげな瞳で呟いた。





(俺だって寂しいんだよ、ばーか。)
(だから早く、)
(戻って来い。)









***

いつだかどばっと載せた、文化祭での無料配布です。まだあった。
これで第四段。本当の本当にこれで無料配布は終わりです。



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