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「はあ……」
ため息をつきつつ、僕は家への道を歩く。
僕は、ごく普通の会社に勤めるごく普通のサラリーマン。まだ親に紹介できるような人はいないけど、いつかは見つけたいと思っている。そんなごく普通の男のはずだ。
なのに、いつも仕事で失敗してしまう。赤面症というか人見知りというか…とにかく人と接したり会話したりするのがすごく苦手なのだ。

だのに僕は、なぜか営業課にいる。
人事部の策略だ…! そう思ったことは数知れず。だが、新人の僕が異動願いなど出しても無意味に等しい。
もうすぐ入社してから三年になる。そうすれば、今よりは異動願いが受理されやすくなるかもしれない…そう思って、慣れない接待や交渉に出向いている毎日だ。

「課長も、もうちょっとのんきになればいいのになあ。あんなに怒りっぽいと、いつか血管切れるんじゃないか?」
そういうわけで営業成績が振るわない僕は、いつも営業課課長に怒られている。
今日も会社を出る前に怒られたばかりだ。
「なんで僕ばっかり怒るんだよ。そりゃあ確かに成績悪いかもしれないけどさ。態度はいいつもりなんだけど! 僕より態度悪いやつなんていっぱいいるじゃないか。なんでそいつらは叱らないんだ?」
言葉にすると、それだけで怒りがこみ上げてくるから不思議だ。

「あーもう、やってられない! 今日は酒飲むぞー!」
手に持った鞄ごと手を振り上げ、酒場を探すために歓楽街の方へ向かった。







11.05.12.Thu


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