ネジは表情に感情が出にくい。ナルトと戦ってからは大分丸くはなったが、それでも未だにポーカーフェースというか。デートをしていても、一緒にテレビを見ていても、リアクションが薄いのでとにかく感情が読めない。観察眼は人より優れている筈だが、ネジに関しては何故だかそれが上手く発揮されない。それをいのに相談したら、バッカねー!と笑われた。


「ネジさんの表情も雰囲気も、アンタと居る時が一番柔らかいわよ?」

「え…マジでか」

「まぁ、一緒に居ると逆にわかんないのかしらねー」


いのに言われた言葉が未だ信じられずに居ると、前の方からネジとヒナタが並んで歩いてくるのが見えた。ネジの表情は以前よりずっと穏やかだった。そう考えれば、ネジは変わったのかもしれない。前より物腰は柔らかくなったし、何よりネジは元々顔も悪くないからちょっと笑うだけでも女から見ると大分イイらしい。(と同僚から言われた事がある)


「あ、シカマルくん」

「よぅ、二人揃って買い物か?」

「ああ、ヒナタ様一人では荷物が多いかと思ってな」

「この位大丈夫なのに…」


仲よさげに話す姿は微笑ましく、ああオレはちょっと邪魔なのかもと思ってまたなと言って手を翳す。すると、ネジに手を掴まれてヒナタと一緒にぽかんとしてしまう。ネジは瞬時にはっとして、すまないと手を離した。ヒナタは何か気付いた様子で、ネジの手から荷物を取り「あとは私だけで大丈夫です」と告げて行ってしまった。ネジが引き留めようとするのも構わず、走って行くヒナタに二人の間に暫しの沈黙。


「あー…えーと、家来るか?」

「あ、…ああ」


気を遣ってくれたヒナタの気持ちを無下にするのもアレだし、久しぶりに顔を合わせたのもあるのでネジを家に誘った。ネジも戸惑いながら了承してくれた。二人で肩を並べて自宅までの道を歩く。何だかぎこちない距離に言葉が出て来ない。ちらりと横顔を窺おうとしたら、ネジと目が合ってしまった。二人揃って慌てて目を逸らす。


(って、オレら思春期かっつーの…)


そんなやりとりをしていると、いつの間にかオレの家に着いていた。とりあえずオレがただいまと言いながらドアを開けると、ネジもお邪魔しますと普段通りの挨拶を口にする。どうやら家には誰も居ないようで、挨拶への返事はない。オレが靴を脱ごうとするとふわりと後ろから包み込まれた。背中に当たるネジの柔らかい髪の毛の感触だとか、何故だか花のような良い香りがする体だとか、ああやべぇ。今めちゃくちゃ心臓煩ぇよ。ネジに聞こえて、る?


(え、あれ…ネジも心拍数上がってる?)


腰辺りに回された手が震えていた。オレはネジの手をそっと包み込むように手を重ねる。そうすると更に力を込められる。ああ、やっべぇなー。今日のネジめちゃくちゃ素直じゃん。言葉には出さないが、態度が、その心拍数がネジの気持ちを表しているのだとすれば。






心臓は一番素直だ
心拍数=愛しい君の気持ち



***

久しぶりにシカネジ書きました…というかネジワカンネ!キャラが迷子!
そしてこのリクエストを頂いた時にはまさか自分がNARUTOから離れるとは思いませんでしたね…。
多分これが私が書く最後のシカネジになるかと…。
最後なのにこんな出来で申し訳ありません!書き直しも受け付けておりますのでお気軽にお申しつけ下さいませ。
リクエストありがとうございました!






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