南沢と付き合い始めてどれ位の月日が経っただろう。もう、一年近いのではないのだろうか。彼を(恋愛対象として)好きだと認識したのは二年に進級する直前、同性に対してこんな感情を抱いてはいけないと葛藤する事三ヶ月、突然南沢から告白されたのは二年生になって五ヶ月目だった。南沢という男がどんな人物かは知っていたが、オレと付き合うようになってからは所謂ビッチというのは卒業したらしい。(オレから言わせれば、南沢のその行為のスタイル自体は何ら変わっていないと思う)そして今日、オレは初めて南沢の家に泊まりに来ている…のだが。


「げほ、げほ…」

「大丈夫か?まったく、こんなに熱があったのにどうして誰にも言わないんだ」

「さんごくー…みずー…」


可愛い恋人の家で二人きり、というシチュエーションだが唯一の欠点は南沢が風邪を引いているという事である。スポーツドリンクの入ったコップに注したストローを南沢の口元に近付けてやりながら、オレは風邪を引いて弱っている南沢を性的に見ないよう気を引き締めた。南沢は心こそ繊細ではないが、体は人より華奢な部類だ。無理をさせるような事があってはならない。


「後で粥を作ってやるから、ちゃんと食べるんだぞ?」

「…やだ、何も食べたくない」

「おいおい…何も食べないと治るものも治らんだろう」


嫌々と子供のように首を振る南沢にオレは苦笑するしかなかった。恐らくだが、彼は頑固というか非常に我が儘なので食べないと言ったら本当に食べないのだろう。しかし、食べてくれないと薬も飲ませられない。どうしたものか…。


「…して」

「ん?何だ?」

「せっくす、してくれんなら…食べる」


枕元に屈んでいるオレを上目遣いで見つめて強請る南沢。せめてキスとか、そういう可愛いおねだりは出来ないのだろうか…。(いや、そういう南沢が可愛くないという訳ではないのだが発言内容の問題だ)


「馬鹿な事を言ってる暇があるなら少しでも寝て汗を」

「掻けば良いんだろ?」


布団を掛け直してやろうと伸ばした手を勢い良く引かれてベッドに引き込まれる。どこにそんな力があったんだ…病人だと思って油断していた。南沢のベッドは彼が掻いた汗で少し湿っていたが、それでも南沢の匂いは消えていなかった。起き上がろうと肘をベッドについた時には、南沢がオレの股間の上にゆらりと跨がっていた。






mae|tugi

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